2016年10月23日

歴史と人間に学ぶ戦略論 (3)

 『戦争論』 クラウゼヴィッツの思考形成プロセス

戦争論.jpg

 − 人生に勝つ! ビジネスに勝つ! “戦略論” について連載でお伝えしています。歴史や重大人物の去来について振り返ってみると、ビジネスの戦略に大きな知恵をさずかることができるでしょう。

 “プロに勝ったナポレオン軍”
 1815年、当時ナポレオンに勝てる戦法といえば世界最高のものである。クラウゼヴィッツは絶対の自信をもって 『戦争論』 の筆をとり、哲学的思考を駆使し、彼の研究と経験を普遍的な兵学として定着させた。

 『戦争論』 の主張を要約すると、次の8つである。

1.戦争はほかの手段を持ってする政治の継続にすぎない。政治は軍事に優先する。戦争は政治目的達成の手段である。
2.戦争には理論化できない部分がある。しかし、事実にもとづいて、できるだけ理論家を推し進めておかねばならない。
3.戦争には、敵の戦闘力撃滅を企図するものと、敵国領土の占領を企図するものの2種類がある。
4.軍の戦略は、これを指揮する将帥の精神力によって決まる。
5.流血をいとうものは、これをいとわないものによって必ず征服される。
6.まず敵の野戦軍をせん滅してから、その首都を占領せよ。(目的はパリ。目標はフランス軍、まずフランス軍を撃破してからパリを狙え)
7.共通の目標をかかげるだけで、具体的行動については統制しない訓令戦法
8.防御は攻撃よりも堅固な戦闘方式である。

 クラウゼヴィッツは、1780年、プロイセン(ドイツ)のマグデブルグ近郊に生まれた。父は退役陸軍中尉である。貧困で正規の将校教育を受けることができず、12歳でポツダム連隊に入って旗手となり、フランス革命戦争で初陣をかざった。

 1806年、クラウゼヴィッツはアウグスト王子に従ってイエナ会議に参加、故郷の地でさんざんに負け、フランスで捕虜生活を送る。

 彼はこの間じっくりと考えた。 「なぜ、ナポレオンの素人軍が勝ち、なぜフリートリッヒ大王いらいの伝統を誇るプロのドイツ軍が惨敗したか」 と。

 このように 『戦争論』 は、クラウゼヴィッツが戦史と歴戦の経験に基づき。。。
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【 戦争論(上) − カール・フォン・クラウゼヴィッツ 】


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2016年05月29日

歴史と人間に学ぶ戦略論(2)

 『戦争論』 クラウゼヴィッツの思考形成プロセス

− 人生に勝つ! ビジネスに勝つ!  ”戦略論”について連載でお伝えしていきます。”戦略論”って言ってもつかみどころがありませんが、歴史や重大人物の去来について振り返ってみると、とても面白いことが分かります。クラウゼヴィッツの 『戦争論』からお届けします。

『戦争論』を理解するには、まずプロセイン軍(ドイツ)の一参謀をして、この大著に取り組むきっかけとなった実際の戦史を振り返ってみましょう。

@ 『フリートリッヒ大王戦史』を読んだクラウゼヴィッツは、「政治と軍事の関係」 について開眼します。

 フリートリッヒ大王の戦争手段は傭兵制度、横隊戦術、倉庫給養を基盤とする機動戦略である。彼の戦争指導は外交を第1とし、開戦前に友邦を獲得することに全力を挙げました。

 実際の作戦計画の立案においても政治上の考慮を重視して作戦目標と作戦路を決定した。
こうして逐次占領地域を拡大して敵国の中枢部に迫り、この間に外交その他あらゆる手段を尽くして敵を屈服させ、有利なる講和を結ぼうとしました。

 彼は同戦史から 「政治と策応しない軍事は労多くして功なし」、「軍事は相手に負けまいとして限りなくエスカレートするので、政治のコントロールを必要とする」 という基本思想を学びました。

A 1796年のナポレオンのイタリア戦争、特に7、8月のガルダ湖畔の各個撃破作戦はナポレオンの天才ぶりを満天下に知らしめた鮮やかな戦いでした。

オーストリア軍の集中包囲圏内に陥ったが驚かず、かえって敵の分離に乗じて各個に撃破する決意を固めました。そして、ガルダ湖東南側地区に転身し、ここに主力を集結して戦機をうかがいました。

 このとき彼は部隊にじんそくな行動を要求し、重い大砲などはその場で土中に埋めさせたほどです。

 8月3日、ナポレオンはガルダ湖西岸の敵2万を襲って撃破し、返す刀で後方に迫ってきた敵の主力たる中央軍を撃滅して全ヨーロッパをあぜんとさせました。

 クラウゼヴィッツはこの作戦について 「ナポレオンがなぜ勝ったか」を徹底研究し、その決戦戦略と、“寡を持って衆に勝つ”(少人数で大勢に勝つこと) 内戦作戦の素晴らしい威力に驚嘆します。

B プロセイン国家の命運をかけたイエナの会戦では、ナポレオンの巧みな陣頭指揮によってプロセイン軍はひとたまりもなく追走してしまいます。クラウゼヴィッツは 「フリートリッヒ大王以来の伝統を持つ、誇り高きプロセイン軍がなぜあのように危うく完敗してしまったのか」 について徹底的に反省し、
 
 「戦いの勝敗を決するものは一にかかって将帥にあり、全軍の運命に与える影響のいかに甚大なものがあるか」 を肝に命じました。そして 「プロセイン軍は敗れるべくして敗れたのであり、ナポレオンに学び、軍を確信しなくてはならない。」 と奮起しました。

C 1808−1813年のナポレオンのスペイン戦争では、意外なことに、スペイン軍のゲリラ戦に悩まされます。当時、フランス軍11万7000人は5軍に分かれてスペイン各地に駐屯していましたが、そのうち4軍10万人がスペイン軍に攻めたてられて敗退もしくは投降してしまいました。

「ナポレオンでも勝てないことがあるのか」 というのがクラウゼヴィッツの感慨でした。彼は、ここで国民戦争の強さというものを認識します。

D 1812年のあの有名なモスクワ作戦を注視して、「ナポレオンでも敗れることがあるのか」 と驚き、「ナポレオンの命令戦法に限界がある」と感づきます。

 命令者の意図と部下の行動を示したものが「命令」であり、部下の行動だけを示したものは 「号令」、発令者の意図のみを示したものは「訓令」です。

 ガルダ湖畔の各個撃破作戦のような巧妙複雑な戦法は、「命令」を使わなくては演出できない。しかし、「命令」は騎馬参謀により伝達されていたので、戦場が騎馬参謀の行動範囲以上に拡大すると 「命令」戦法を使用することはできず、それ以上は 「訓令」戦法でなくては役に立ちません。

モスクワ作戦の失敗は、戦場は幅600キロ(東京―明石間)の長さに達していたにもかかわらず、「命令」戦法で戦っていたことが根本原因でした。

E ナポレオン軍とプロイセン・スウェーデン・ロシア連合軍は、1813年、ドレスデンで大規模な戦闘を行いました。この会戦でも確かにナポレオンは強かったのですが、しかしナポレオンのおもむかない戦場では、フランス軍はほとんど敗れました。
 
 対する連合軍は、「訓令」戦法を駆使し、ナポレオンの「命令」戦法を蹴散らしました。これを見たクラウゼヴィッツは。。。

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 (つづく)

 【 クラウゼヴィッツ ”戦争論” 】



 【 桁外れの結果を出す人は、人が見ていないところで何をしているのか 】

 

34歳ときに三菱商事からサンリオに入社した鳩山氏。
海外でのライセンス事業に注力した結果、欧米での収入が大きく伸びたことで(営業利益
の90%以上は海外)、会社の営業利益は5年で約3倍、時価総額は約7倍に。
その実績をかわれ、2013年6月には39歳にして、DeNAの社外取締役に抜擢。
鳩山氏は一体、どのようにして桁外れの結果を出し続けているのか。
その秘訣を具体的に伝授。

*********************************
これをやるか、やらないかで
3カ月後に大きな差がつく!

第1章 桁外れの結果を出す人は、人が見ていないところで何をしているのか
第2章 不安をうまく利用するから、結果が出せる
第3章 人間関係をおろそかにすると、どんな努力も無駄になる
第4章 今の時間の使い方が、3カ月後の仕事の実績を左右する
第5章 現状に満足した瞬間、成長はストップする
第6章 私が新人の頃から徹底してきた仕事の基本
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2016年05月15日

歴史と人間に学ぶ戦略力 (1) 

 『戦争論』 ドイツ参謀本部のバイブル

 人生に勝つ。仕事に勝つ ”戦略論”について連載でお伝えしていきます。”戦略論”って言ってもつかみどころがありませんが、歴史や重大人物の去来について振り返ってみると、とても面白いことが分かります。まずは 『戦争論』からです。

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

 『戦争論』はヨーロッパにおける近代兵学の原点、不滅の兵学経典であり、その影響は広く世界の各国軍に及んでいるだけでなく政治・経済・文化の各方面に大きなインパクトを与えてきました。

 『戦争論』は兵書であると同時にあまねく欧米人の思想の底流をなしており、グローバルに働く者はもちろん、欧米人の考え方を知ろうとする者にとっても必読の書です。

 アメリカの経営学者 ピーター・F・ドラッカーの理論も、この『戦争論』に大きく影響されていたことは見逃せません。ドラッカーは次のように言っています。

 ◎ 企業発展のカギは不確実なものにある。
 ◎ 企業は危険性を負担し、その損失を回避するに足る利潤をあげることを考えよ。
 ◎ 決定には危険性と不確実性を伴う。従って決定のためには勇気を必要とする。
 
 ところが今から180年も前の 『戦争論』には次のような主張が載っているのです。

 ◎ 戦争は推測の世界であり、データの4分の3までは不確実である。知性を持って真相を見通すとともに、勇気と自信をもって不確実性を克服しなくてはならない。

 ◎ 戦争では予想外の出来事が多い。情報が不確実の上、偶然が多く働くからである。洞察力と決断力が必要である。
 ◎ 知性を働かすには、その前に勇気の感情を喚起しておかねばならない。

 ◎ 戦争には危険・肉体的労苦・不確実性・偶然性という4つの困難がある。将師はこれに打ち勝たねばならない。

 『戦争論』 は兵書であり、もともと経営や処世法などとは全然関係のないものですが、「不確実性」という言葉一つを取り上げてみても意外に共通性のあるのに驚きます。

 しかし、考えてみればこれは当然のことで、経営も兵法も組織の効率的運用を目指すものであり、経営者も将師も組織を率いて勝負を争い、あるいは激動する情勢の中で困難を乗り切っていかねばならない重責を担っている点は同じです。

 経営幹部が兵書から学ぶべきことや共感することは非常に多いはずです。

 『戦争論』が、なぜこのように今日でもその光を失わない永遠の古典となっているのか。それは 『戦争論』が、単なる学問ではなく。。。 ここから先はメルマガ ”熱血日記” を購読してお楽しみ下さい。
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 (つづく) 次回は【クラウゼウィッツの思考プロセス】です。



【 ジャズの名盤 Johnny Hartman 】 下記のYou Tubeで聞けます。
 https://www.youtube.com/watch?v=z5K0wsdil_I
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2015年04月04日

社員を熱狂的なヤル気にさせる (2)

  外資系企業の日本支社長を3社務めた 
  『ジャイロ経営が社員のヤル気に火をつける』 の著者、秋元征紘氏が、グローバル企業の経営を通じて社員を熱狂的なヤル気にさせる仕組みを語ります。メルマガ ”熱血日記” 4月5日号で配信しました!

 

『   “人は感情の生き物である”

 「まず原点に戻ってから、新しいことを始めなさい」 (Back to basics and start a new) と訴えたカーネル・サンダース。

 日本には1972年から1980年の間に3回訪れたが、89歳という高齢をおして来日を果たしたサンダースは、 「We are No.1」 と書かれた真っ赤なジャンパーをはおり、サンダースとおそろいのストリングタイを結んだ大勢の若者と接した。

 足腰の衰えから車椅子での移動を余儀なくされたサンダースは、長旅の疲れもあり、会場に入るまではまるで元気がなかった。ところが、大勢の若手社員を前にしたとたんに頬に赤みがさし、これ以上はないという笑顔で、社員一人一人と力強い握手を始めた。

 サンダースはKFCというブランドを心から愛し、「おいしさで幸せを届ける」 というミッションを創業から30年近いときを経ても真摯に追い求め、それを自らの言動で示すカリスマだった。

 だからこそ社員たちは共感し、自らの仕事に対するパッションをも燃やすようになったのである。

 実はサンダースには、まったく違う別の顔があった。マネジメント層に対しては、まるで鬼教官のようなきわめて厳しい態度で接していた。コミットメントの引き出し方は、階層や社員のタイプによって異なることを彼は熟知していたのだ。

  “3人の企業家 − リーダーシップの真髄”

 − 「ビッグ・アイデア」 の創造者、ロジャー・エンリコ
 “すべては優れたアイデアから始まる”

 変化する環境のなかでミッションを見失わず、外からの力や変革の過程で生じる内部のぶれを慣性力によって修正し、成長しつづけるジャイロ経営。
  
 ヘリコプターのジャイロが高速回転することで持続的であろうとするその中心には企業家が存在し、徹底的に絞り込まれた戦略と強い求心力で社員のパッションに火をつけ、勝利へ向けて組織を導いていく。

 ロジャー・エンリコ、フィル・ナイト、ベルナール・アルノーの3人の企業家を通して、ジャイロ経営に必要なリーダーシップについて話そう。

 1983年からペプシコの社長を務め、アメリカを代表するコカ・コーラを追撃し、シェア争いで首位を奪取することに成功したロジャー・エンリコは、まさにアイデア力の権化とでも言うべき企業家である。

 既成概念にとらわれないひらめきとずば抜けた行動力で、ペプシコの新たな成長のプラットフォームを築き上げたのである。

 私が彼に会ったとき、エンリコの名前はすでにビジネス界で鳴り響いていた。1983年に若干38歳でペプシ・コーラの社長に就任すると、その数か月後には、500万ドルという史上最高の出演料で、エンリコが言うところの

 「高い声で歌い、後ずさりしながら踊る、才能にあふれた内気な若者」、マイケル・ジャクソンとのコマーシャル契約を結んだのだ。彼と彼の兄弟から成るジャクソンズを2つのコマーシャルに“”出演させ、彼らが全米で行う 「ビクトリー・ツアー」 のスポンサーになり、記者会見に出席させる権利を500万ドル (約5億円) で買ったのである。

 ローリング・ストーンズの契約が50万ドルと言われていたこの時代に、この金額はあまりにも法外だった。社内外でも物議をかもした。 

 「たかがロック・ミュージックに500万ドルとは、頭がおかしくなったのではないか?」 とも言われた。しかし、彼は自信を持って、なぜマイケル・ジャクソンが必要なのか、どうして500万ドルもつぎ込む価値があったのかを説いて回った。

 
 音楽でコーラが売れるとは、それまで誰が考えただろうか。エンリコが発想し、会長のケンドールがゴーサインを出したビッグ・アイデアの結果は大成功だった。長年のライバルだったコカ・コーラを抜き去ったのだから。

 エンリコの理論は、 「コーラは砂糖水に過ぎない」 だった。そうであれば、理屈やナショナリズムに訴えるのではなく、音楽を身体で感じて楽しむように、コーラを味わってほしいと考えたのだ。

 エンリコが日本に来日した際にも、彼のアイデアは次から次へと湧いてきた。中には首をひねるような奇抜なものもあったが、前職でペプシコの子会社の代表として駐在していたこともあり、日本の清涼飲料業界やマーケットに通じていた。

 いかにもイタリア系らしく、生き生きとした表情に大きな身振りを添えて話すエンリコの様子からは、他のペプシコーラの経営陣にありがちな権威主義的な雰囲気はいっさい感じられなかった。

 挑戦者のイメージがあるペプシコだが、長い歴史を持つアメリカを代表する企業だけあり、幹部社員の多くはアイビーリーグ出身のMBA保持者で、官僚的な組織風土を持っていた。

 戦略系コンサルティング・ファームや有名メーカーでキャリアを積んだ彼らは、頭脳明晰ではあるが発想が貧困で、どこどこのビジネス・スクールで学んだ理論を持ち出しては延々と議論することを好んだ。

 そんな中、エンリコは会長のケンドールと同様に、ペプシ・コーラを小さな会社のように行動する大企業にしようとしていた。

 “ほとばしる意志の生命力”

 アイデアは神のお告げによって与えられるものではない。自信の口癖でもあった 「ビッグ・アイデア」 を軽々と思いついていたように見えたエンリコも、自然にアイデアが湧き出る泉を持っていたわけではなく、自らの努力によって生み出していたのだ。

 「世間をあっと言わせること」 が大好きだったエンリコは、そのためには何よりも自分自身を驚かせることが必要だと考えていた。

 「そのためには毎朝、どんなことでも、やればできる、という気持ちで出社しなければならない。そういう心がけで仕事をしてみると、いかに独創的になれるか、そして、いかに楽しめるか。まさに驚くばかりである。」 と述べている。

 彼が社長室に。。。 』
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 (引用:  『ジャイロ経営が社員のヤル気に火をつける』)
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2015年03月29日

社員を熱狂的なヤル気にさせる (1)

 外資系企業の日本支社長を3社務め、『ジャイロ経営が社員のヤル気に火をつける』 の著者、秋元征紘氏が、グローバル企業の経営を通じて社員を熱狂的なヤル気にさせる仕組みを語っています。

 私も、米系金融機関で従業員の士気を向上させる委員会を引っ張っていた際に、非常に学ばせて頂きました。

 (引用 『ジャイロ経営が社員のヤル気に火をつける』)

 

 『  「志とパッション」

  私は40年余りのビジネスマンとしてのキャリアのうち、30年近くを外資系企業で過ごした。皮切りは日本KFC,そしてナイキジャパンに移り、95年からはLVMHグループのゲランの日本法人で社長を務めた。

 新卒で入社したのが日本精工で、創造性よりも従順さを求める組織運営に疑問を感じ、日本KFCに移った。業績も国籍も異なるこれらの企業だが、そのいずれにも圧倒的な存在感と卓越したリーダーシップを持つ企業家がいた。

 KFCのカーネル・サンダース、ペプシ・コーラのロジャー・エンリコ、ナイキのフィル・ナイト、そしてLVMHグループのベルナール・アルノー。いずれも地球規模でその名を知られた有名経営者たちである。ただ彼らの企業家としてのあり方はそれぞれ個性的で、けっして一つの型にはめられるものではない。

 私の目の前で、まるで魔法をかけるように現場スタッフのモチベーションを上げてみせたカーネル・サンダース。誰も思いつかないようなビッグ・アイデアでコーラ戦争に勝利したロジャー・エンリコ。

 “Just do it!” を合言葉に消費者とブランド、そして社員の間に強い感情的な絆を築き上げたベルナール・アルノー。

 やり方はそれぞれ異なるが、徹底的に絞り込まれた戦略の確かさと、社員のコミットメントの高さが、彼らに成功をもたらしたことは共通している。

  コミットメントを日本語にすれば 「全力を注いで参加する。」 という表現がもっとも近いだろう。モチベーションとコミットメントは混同されがちだが、全社が作業レベルの短期的なものを指すのに対し、後者はより長期的な仕事そのものに対するヤル気や、主体的なかかわり方を表す。

 強い企業は総じて社員のコミットメントが高い。

 “論理と感情のベクトルを最大化・最適化する”

 名だたる企業家のもとで経営経験を積み、企業が厳しい競争に勝利し続けるためには、戦略=絞り込まれた論理的な計画と、コミットメント=パッションを持った組織構成員の参画の二つが不可欠であると悟った。

  偉大なるブランドはみな、戦略とコミットメント、論理と感情の二つのベクトルを最大化かつ最適化することで勝利してきたのである。

 戦略だけが突出していても、パッションをもってそれを遂行する人がいなければ実現は不可能だし、肝心の戦略がまずければいくらコミットメント・レベルが高くても高くても空回りしてしまう。組織は戦略に従うとともに、戦略は組織に従うのである。

 しかし、ともすれば均衡を失いがちな二つのベクトルのバランスを保ちながら、それぞれを最大化、最適化していくには非常に困難な課題だ。

 この難問を解くカギは、企業家にあった。つまり、カーネル・サンダースであり、ロジャー・エンリコであり、フィル・ナイトであり、ベルナール・アルノーである。

 彼らが考えに考え抜いて絞り込んだ戦略が社員の熱いコミットメントを呼び、両者をもっとも高い水準で均衡させることで、ビジョンは現実のものとなっていったのである。

 もちろん社員を本気にさせ、コミットメントを引き出すのは簡単ではない。その難しさは私自身が経営者として痛感してきたことでもある。仕事に対する愛情や、ヤル気の乏しい社員はどこにでもいる。

 彼らさえいなくなれば組織はよくなると考えたこともあったが、そういう社員が辞めても結局すぐに同じような社員が出てくるだけで、私自身のやり方を変えない限り、問題は解決しないことに気付いた。

 逆に言えば、自分さえ進むべき方向とそのやり方を間違わなければ、大多数の社員のコミットメントは得られるということになる。ポイントは “企業家本人と戦略に対する絶対的な信頼、そして戦略立案プロセスにおける社員の参画の2つである。”

 この2つさえやっておけば間違いない。それだけのことができずに多くの企業が道に迷っている。試しに、あなたの会社の中期・長期経営計画を思い出してほしい。

 達成可能な安全圏の数字からなる数値目標はともかく、「意思決定のスピード化」 や 「高付加価値化」 といった定性的な目標に関しては、本音では眉唾ものだと感じている人が多いのではないだろうか。

 なぜなら、その目標は社員が参加して、納得づくで策定されたものではないし、何よりも肝心の経営者が本気でその達成を信じているようには見えない場合が多いからである。問われているのは経営者自身のコミットメントであり、それを裏打ちする企業家としての志、そしてパッションだ。

  “若者が3年で辞める理由”

 せっかく新卒で採用した若手社員が、入社してわずか3年で辞める例が後をたたない。若年層の離職率が高い理由は、彼らと親のふがいなさだけに求めるのは間違いだ。なぜ彼らは会社にも仕事にも魅力を感じられずに辞めていくかというと、次のような理由が見られる。

 @ 経営者に “志” が感じられない。または共感できない。
 A 会社のビジョンやバリュー、戦略がよく理解できない。
 B 経営計画の内容について十分な説明がない。自分の業務との関連性も不明瞭だ。
 C 経営の意思決定が遅く、またそのプロセスが不透明である。
 D 戦略や目標は突然上から押し付けられるもので、その決定に関する機会が与えられない。
 E 公正な評価に基づく昇給・昇格、人材開発が行われていない。
 F 官僚的な企業文化になじめない

 このような組織であれば、若者が辞めたくなるのも当然だろう。戦前の封建主義的な文化がまだ依然として残っており、今日でも同様の “ひずみ” はある。その “ひずみ”が社員のコミットメントを喪失させているのである。

  “ピープルズ・ビジネスの達人”

 優れた企業家はいちように、社員のコミットメントを引き出すことに長けている。アクセルを大きく踏み込んで一気に加速するタイプの人もいれば、万全のチューンアップと緻密なルート計画で誰よりも先にチェッカーフラッグを受ける者もいた。

 KFC(ケンタッキー・フライドチキン)の創業者、カーネル・サンダースが来日したとき、私は初めて社員のパッションに火がつく瞬間を目撃した。

 1955年に創業したKFCは、カーネル・サンダースが開発した11種類の秘伝のスパイスと圧力釜を用いたオリジナル・チキン・レシピを武器に、またたく間に全米にフランチャイズを拡げた。

 「アメリカでもっとも多くの百万長者を生んだ」 ビジネスとして隆盛を極めたKFCだったが、1970年代に入ると、世界的に肥大したフランチャイズ・システムのなかで創業の原点を忘れ、次第に方向性を見失うようになっていった。

 KFCを買収したヒューブライン社は、後にクラフト・フーズやフィリップモリスのCEOを務め、大物経営者として知られるマイク・マイルズを送り込み、ブランド再興に着手した。

 マイルズが行ったのが 「QSCVOOFAMP」 計画である。Quality(優れた製品品質) Service (店舗スタッフのフレンドリーで行き届いたサービス)Cleanliness (清潔な店舗)Values (価格に見合った価値) の4つの要素の水準を高めることが、競合に勝利するためには重要と考えたのだ。

 マイルズはさらにそこに, Other Operating Factors (店舗イメージや設備、情報管理システム) Advertising (広告・宣伝) Merchandising (商品化計画) Promotion (販売促進) を新たに加えて、これらすべての要素について創業時の原点に立ち返り、あらためて競争優位性を築くという戦略を打ち立てた。

 これだけではない。マイルズは直接顧客に接する店舗スタッフや加盟店オーナー、KFCのバックオフィスの社員、サプライヤーなど世界のKFCビジネスにかかわる数十万人の人たちにその精神を正しく理解させようとしたのである。

 この困難な課題に挑戦するため、マイルズは、10年前に引退していたカーネル・サンダースをブランドのシンボルとするために引っ張り出してきた。

 すでに80歳を超えて、体調も万全ではなかったサンダースにとって、世界中の店を回ることは体力的にも精神的にもきつかったはずだが、誰よりもKFCを愛していた彼は、マイルズの要請を快く引き受けたのだ。 』

 (つづく)
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2013年07月07日

MBAの知識 − ベーシックス (68) ゲーム理論・交渉術 

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 ゲーム理論・交渉術

 ゲームに臨む各プレーヤーが第1に行うべきことは、そのゲームの本質的性格を見極めることだ。ゲームの性格は、プレーヤー間の意思決定のタイミング、利害の衝突度合い、プレーヤーの人数等によりさまざまに分類できるが、自分が直面するゲームがどの類型に属するかによって、おのずと戦略が異なってくる。

 “意思決定によるタイミングによる分類”

  一般にゲームは、プレーヤー間の意思決定のタイミングに着目すると、交互行動ゲーム ( sequential move game ) ろ同時進行ゲーム ( simultaneous move game ) の2種類に分類できる。交互行動ゲームはプレーヤーが交互に判断し行動するもので、将棋やマージャンはこれに当たる。

  各プレーヤーは自分の番が来たら、ここでの自分の行動に対し相手がどう対応するか、さらにそれに対し自分はどうするか、先を読みながら行動を決定する。たとえば将棋では 「 こちらがここに角を打てば相手は金を動かして守るだろう。それに対しこちらが歩を打ってさらに攻めようとするが、さらに相手は・・・」 といった具合に考える。

 将棋の名人であっても最後まで読み切ることはなかなかできない。実際には途中まで先読み推量を行い、あとはその中間情勢を価値判断して次の一手を決めているのである。

 意思決定のタイミングのもう1つの類型は、同時進行ゲームである。プレーヤーはお互いに相手の次の行動を知らない状態で意思決定を行う。しかし各プレーヤーは、ゲームに参加しているプレーヤーがほかにもいることをお互いに知っており、相手の行動を予測しつつ自分の戦略を決定する。

  野球のバッターは、しばしばピッチャーが次の球が内角か外角か、ストレートか変化球かを予測してバッターボックスに立つ。一方、ピッチャーはバッターがどの球種にヤマを張っているかを予測し、その裏をかこうと考える。これは、まさに同時進行ゲームである。

  オークション (入札) には交互行動的なものと同時進行的なものがある。

 ロンドンのサザビーにおける絵画オークションのように、購入希望者が値段を徐々につり上げ、最後にいちばん高い値段を言ったものが落札する方式 ( English auction ) は交互行動ゲームであるのに対し、公共事業の建設業者への発注のように紙に入札価格を書き、最も低い価格を提示したものが落札する方式 ( Sealed bid auction ) は同時進行ゲームである。

 オークションの方式により、参加者の戦略が異なってくることはいうまでもない。

 “ その他の分類 ”

 次に利害衝突度合による分類を考えてみる。プレーヤーの利害が真っ向から衝突するゲーム、すなわちあるプレーヤーの利益が増えればそれと同じだけ他のプレーヤーの損失が増えるゲームをゼロサム・ゲームという。

 多くの室内ゲームやビジネスにおける単純な価格交渉等はゼロサム・ゲームである。

 それに対し、あるプレーヤーの利益が必ずしも他のプレーヤーの損失に結び付かないゲームは、プラスサム・ゲームと呼ばれる。ライバル企業間の価格協定はプラスサム・ゲームの一例である。プラスサム・ゲームでは相手と競争するとともに協調を図ることが重要であり、協調によって互いの利益を増加させることができる。

 このほかにも、プレーヤーの人数による分類 (2人ゲーム、3人ゲーム、多人数ゲーム) や、各プレーヤーに与えられている情報量による分類 (各人がゲームのルール、自分の置かれている状況等を完全に把握している完全情報ゲームと、完全には把握していない不完全情報ゲーム) 等がある。

 ゲームのプレーヤーにとって最も重要なことは、自分の直面しているゲームがどの類型に属するものであるかを正確に理解することである。これは一見単純なことのようで、必ずしもそうではない。

 ゼロサム・ゲームと思っていたのに協議の余地があったり、2人ゲームのはずが思わぬ第三者が現れたり、また同時進行ゲームが途中で交互行動ゲームに変わってしまうことも珍しいことではないのである。
 
 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 
 
  “意思決定のタイミングによる分類” 
     ⇒ 交互行動ゲーム
     ⇒ 同時進行ゲーム

  “プレーヤーの人数による分類”
     ⇒ 2人ゲーム
     ⇒ 3人ゲーム
     ⇒ 多人数ゲーム

  “利害衝突度合いによる分類”
     ⇒ ゼロサム・ゲーム
     ⇒ プラスサム・ゲーム

  “情報量による分類”
   ⇒ 完全情報ゲーム
   ⇒ 不完全情報ゲーム

  ( 引用: MBAマネジメントブック、株式会社グロービス ) 


 【 ビジネスマンとしての基礎知識のMBA、早稲田大学ビジネススクール 】

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2013年06月29日

MBAの知識 − ベーシックス (67) ゲーム理論・交渉術

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  企業経営とゲーム理論

 ゲーム理論とは、複数の当事者 (プレーヤー) が存在し、それぞれの行動が互いに影響を及ぼし合う状況 (ゲーム) において、各人の利益 (効用) に基づいて相手の行動を予測し、意思決定を行う場合の考え方である。

 チェスや囲碁から政治やビジネスに至るまで、意思決定を伴うさまざまな事象をゲーム理論のフレームワークで取り扱うことができる。

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 “登山家の意思決定と経営者の意思決定”

 もしあなたの乗っている飛行機が、武装した1人のハイジャッカーによって乗っ取られたとき、あなたはどういう行動に出るだろうか。他の多数の乗客はどうだろうか。おそらく犯人の指示に従い何もしないだろう。

 多人数が一斉に行動を起こせば立ち向かえるかもしれないが、通常最初に行動を起こす人は、非常に高いコストを払うことになる (命を失う?) ため、利益よりもコストの方が大きいと考えるからである。

 それでは、トヨタはなぜ他の自動車メーカーに対して値下げ競争を仕掛けないのであろうか。資金力にものをいわせれば、他社を叩き潰せるかもしれないのに。おそらく競争を仕掛ければ、絶えざる値下げ競争の泥沼に陥り、競争を仕掛けない場合に比べて得られる利益がかなり少ないものになるためだろう。

 このように、政治、ビジネス、生活のあらゆるシーンにおいて常に競争 (ゲーム) は存在し、当事者はどう行動するかの意思決定を迫られている。

 一方、たとえばどの登頂ルートをとるかといった登山家の意思決定は、上記のようなゲームにおける意思決定とは根本的に異なる。登山家にとって一方のルートをとることは、天候によっては危険であるが大変価値があるのに対し、もう一方のルートは安全だがその分価値は劣るとしよう。

 ここで登山家の相手となる山 (環境) との関係を見ると、山は登山家がどのルートを選択したかによって晴れたり雨を降らせることはできない。すなわち、登山家の行動から何らの影響も受けないわけで、この状況ではゲームは成り立たず、通常ゲーム理論では取り扱わない。

 自動車の値下げ競争の状況では、企業の経営者にとっては 「こちらが値下げをすればライバル会社も値下げする。それを想定してこちらは。。。」 といった具合に、プレーヤー間の意思決定に相互作用がある。このような状況下で、それぞれの効用に基づいて各人の行動を予測し、意思決定を導く考え方をゲーム理論という。

  “ゲーム理論的フレームワーク”

  ゲーム理論はハンガリー生まれの数学者、フォン・ノイマンが1920年代に、ゼロサム2人ゲームの基本定理を証明したことに始まる若い学問である。相互に影響を及ぼし合う場で自分の利益を追求する行動 (戦略) は、本質的に室内ゲームと同じであるという認識から生まれた。

  その後、数学の1分野として発展してきたこの理論は、社会科学の分野に多大な影響を与えている。たとえば経済学では、各企業のマーケット全体に与える影響力は十分小さいという前提の下で理論が構築されているが、実際のマーケットは多かれ少なかれ寡占状態 (少数の大企業が市場をほぼ独占する状態) にある。

 したがって、各企業 (プレーヤー) はマーケット内の主要企業の相互作用をある程度予測する必要があり、ゲーム理論的フレームワークの中で考察しなければマーケットの正しい分析ができないと考えられるようになってきた。

米国ビジネス・スクールのカリキュラムでは、ゲーム理論はファイナンス、マーケティング、会計学等とならんで必修科目となっていることが多い。 「ゲーム理論」 として1講座を設けているカリキュラムもあるが、通常 「意思決定論」 「経営経済学」 といった講座の1分野として教えられている。  

 ゲーム理論の有用性

  ゲーム理論の活用例は日本でも散見されるが、特にアメリカにおいて政治・ビジネス等の分野で広く見られる。もともと数学の1分野として発展し、政治学、社会学に適用され、現在では交渉術にも適用されている。プレーヤー同士の相互作用に基づき利得の最大化をめざして、戦略の構築がなされる。

  “ゲーム理論の活用例”

  アメリカでは、ゲーム理論は政治・ビジネス等の分野に広く浸透している。共和党と民主党はゲーム理論的な駆け引きの中で意思決定を行うことがしばしばあると聞く。

 たしかにアメリカの2大政党は日本の政党と比べると教条主義的な面が少なく、よく言えば柔軟な、悪く言えば場当たり的な行動をとるように思われる。北部の共和党政治家のほうが南部の民主党政治家よりはるかにリベラルに見えることもあるほどだ。

 政策論争もイデオロギー対決というより、先方の出方を予測して戦略を練ることが多いのではなかろうか。

 ビジネスの分野では、ゲーム理論の活用例は日本でも散見される。ビール業界の価格競争や、トヨタ、日産のモデルチェンジ戦略等はその一例であろう。しかしアメリカにおいては、より積極的にゲーム理論的戦略が採用されている。

 アメリカ独特の例としては、比較コマーシャルが挙げられるであろう。ペプシコーラの比較CMはもちろん、たとえばアコードはホンダが流すCMより、フォードやクライスラーのCMでより頻繁に登場している。

 アメリカではこのほか、軍事戦略策定の中枢部門、外交政策の立案部門、大企業のマーケティング部門等には必ずゲーム理論の専門家がいるといわれている。

 ゲーム理論はビジネスにおける交渉術の基礎としても有用である。交渉において利害関係のある当事者 (プレーヤー) はだれなのか、各プレーヤーの効用はどういう相互関係にあるのかを明らかにしたうえで相手の出方を見極めつつ、自分の戦略を定めていく方法は、まさにゲーム理論のフレームワークの中で取り扱うことができる。

 “ゲーム理論の基本的コンセプト”

  ゲーム理論の検討を行うにあたって、ゲームに現れる基本的な概念を整理しておこう。ゲームの参加者はプレーヤーとして呼ばれる。各プレーヤーは個人であるとは限らず、1つのチームあるいは会社となることもある。つまりプレーヤーはそのゲームに加わる意思決定者の単位である。

 ゲームの終了時に各プレーヤーが手に入れるものを利得 (Pay-off) という。プレーヤーはあくまでも自分の利得をできるだけ大きくするためだけに行動すると考え、周囲への義理や遠慮は捨てる。

 他人を幸福にすることが自分の幸せだという人は、その人の利得が他人の幸不幸によって増減するという前提を置けば、その人にとっても自分の利得を増やすことが唯一の目標となる。

 次に、ゲームのルールを明確に決める必要がある。ゲームは通常何段階かにわたって行われるが、各段階においてプレーヤーは選ぶことのできるいくつかの手の中から特定の手を選択する。ゲーム全般にわたる選択を決めるものが戦略である。

 これに対し、各選択の段階ごとに考える手を戦術という。戦略はゲームを行っている途中で決めるのではなく、ゲームが始まる前にゲーム全体を見通して策定されるべきものである。

 ゲームのルールが決まり各プレーヤーが戦略を検討し終われば、今度はそのゲームがどのように展開して、結果はどうなるのかを見つけ出さなければならない。ゲームの結果を見つけ出すことゲームを解くという。

 ゲームを解くにあたっては、各プレーヤーがゲーム理論を熟知しており、ゲーム理論に基づいて合理的な戦略を立てていることを前提として考える。

 ひとりでも無茶苦茶な戦略をとるプレーヤーがいると、そのプレーヤーは必ず損をするのであるが、他のプレイヤーにもとばっちりがきて合理的な戦略が意味を成さないこともある。したがって、各プレーヤーが 「ゲームの達人」 であるという考えが基本となっている。

 ( 引用: MBAマネジメント・ブック、株式会社グロービス ) 


 【 ビジネスマンとしての基礎知識のMBA、早稲田大学ビジネススクール 】

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2013年05月19日

MBAの知識 − ファイナンス (21)

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 商品を仕入れる

棚卸資産と売上原価

 商品を売るためにはそれに先立ち商品を仕入れなければならない。仕入は最終的に費用になるが、仕入額のすべてが費用になるわけではないことを理解することが重要である。ここでのポイントは費用収益対応原則である。

 仕入がすぐに費用になるわけではない
 ─ 仕入、売上原価、棚卸資産


 モノを仕入れる場合、その仕入額が費用になるかというとそう単純ではない。商品は在庫を持つのが普通であるので、その分を考慮しなければならない。

 次のような簡単なケースを考えてみよう。前期末の在庫が100円分であるが、当期には1、000円分の出荷予定があるとする。そこで、仕入れとしては900円分行う。これで前期末の在庫と合わせて1、000円分の在庫になる。

 ところが、当期が終わってみると、実際には800円しか出荷されなかったとする。このとき、200円分の在庫が残ることになる。

 この場合の会計処理は、実際に出荷のあった800円だけを売上原価という費用とし、期末に残った200円の在庫は貸借対照表に計上されて翌朝に繰り越すという処理をする。

 このような処理をする根拠は費用収益対応原則である。費用収益対応原則とは、費用をあくまでも収益獲得の犠牲として捉え、収益獲得に貢献した部分だけを費用とする考えであった。

 この例では、期末の在庫は販売されていないのであるから、まだ収益獲得に貢献していない。したがって費用として認識しないのである。売上原価は、費用収益対応原則の最も典型的な具体例である。

 在庫は金のタマゴか、時限爆弾か
 − 売れ残った在庫の行く末


 期末の在庫は、翌気の在庫に繰り越されて翌期の出荷を待つことになり、実際に出荷されればそこで売上原価として費用化される。しかし、在庫はそもそも 「売れ残り」 であるので、翌期になったからといって売れるとは限らない。

 時間がたてば劣化するものもあるだろうし、劣化しなくても陳腐化して時代遅れのものになってしまう可能性もある。新しいモデルでも出れば、少なくとも最初の価格で売れることは絶望的である。

 商品が売れないままだと、それはずっと倉庫に眠る不良在庫と化していく。しかし、在庫は棚卸資産として貸借対照表に計上されているだけであって、費用としては顕在化しない。費用化されて損失と認識されるチャンスがあるとすれば、棚卸の際に不良在庫と認識されて、人為的に評価損を計上するか廃棄処分にでもする場合である。

 しかし、キャッシュベースで考えるとどうなっているだろうか。費用としては認識されなくても、在庫は既にキャッシュを払って購入したものである。つまり、キャッシュアウトは既に済んでいるということは、在庫という名で倉庫に積まれているのはキャッシュの塊なのである。

 これが売れずに廃棄処分になるということは、キャッシュの塊を捨てていることに等しい。

 このように、在庫は費用にならないため直接的には利益を悪化させない。悪化させるのはキャッシュフローである。逆に言えば、在庫の削減はキャッシュフローを改善するための有力な打ち手の一つである。

 トヨタがカンバン方式という仕組みで余計な在庫を持たないようにしたり、セブンイレブンの配送トラックが一日に何回も店舗を回って少しずつ商品を補充したりするのは、すべてそのためである。

 最近はやりのSCM (サプライ・チェーン・マネジメント) も、全体最適をめざすことによって部門間や工程間の在庫を圧縮することが大きな目的の一つである。

 ”計算の仕方で売上原価も棚卸資産も変わる“

 ここまでは仕入れる商品を金額だけで考えてきたが、実際は単価と個数で仕入れ額は決まる。そして、同じ商品であっても仕入れる時期によって単価は当然に変わり得る。このような場合、どのように売上原価や期末の棚卸資産の価額を計算するのだろうか。

 商品の仕入額を個々に捉えていれば、売上原価も棚卸資産も物理的な商品と完全にひも付けて計算できる。しかし、この方法は計算に要する手間が非現実的であるし、燃油のような商品であれば仕入単価の違いはタンクの中で混ざってしまうため、そもそも計算不可能である。

 そのため、この方法は、中古車や宝飾品のように、一見同じ商品に見えてもそれぞれ個性のある商品のような特別の場合以外は採用されない。

 では通常どうするかというと、物理的な商品の動きとは切り離して、帳簿の上だけで一定の仮定の下に計算する。代表的な方法としては、先入先出法、平均法、売価還元法がある。

 先入先出法 ( First in first out : FIFO ) は、時間的に先に仕入れたものから出荷されるという仮定の下に計算する方法である。この方法だと、売上原価は新しい仕入れ原価で計算され、棚卸資産は古い仕入れ原価で計算される。

 平均法 ( Average method ) は、仕入原価の一定期間の平均原価を計算し、その平均原価で売上原価を計算し、その平均原価で売上原価と棚卸資産を計算する方法である。

 平均原価の計算は、仕入や出荷等により在庫に変動があった都度平均原価を計算し直す移動平均法と、期末に一括して平均原価を計算する総平均法とがある。総平均法の場合、売上原価と棚卸資産の計算単価は等しくなる。

 先入先出法、平均法の違いを例を使ってみてみよう。

(例) 期首在庫ゼロで、期中に以下のように仕入れた。

 仕入日    数量     仕入単価       仕入額

 4月1日   100個    @100円      10,000円
 5月1日   100個    @110円      11,000円
 6月1日   100個    @120円      12,000円
 合計     300個      −         33,000円

 これに対して、当期の売上は以下のようであった。

 売上日     数量     販売単価      売上高
 7月1日    200個    @150円      30,000円

  この場合、先入先出法、総平均法のそれぞれで、売上原価、期末棚卸資産および粗利
(=売上高−売上原価) は以下のようになる。

 ≪先入先出法≫  期末棚卸資産 @120円X100個=12,000円
          売上原価 @100円X100個+@110円X100個=21,000円
          粗利    30,000円−21,000円=9,000円

 ≪総平均法≫  期末棚卸資産 @110円X100個=11,000円             
         売上原価 @110円X200個=22,000円
         粗利 30,000円−22,000円=8,000円

 この例から分かるように、どの方法を取るかによって、最終的には利益額も変わってくる。変わらない事実は、300個の仕入に伴う33,000円のキャッシュアウトがあったことと、200個分の売上に伴う30,000円のキャッシュインがあったことである。

 これらの方法はすべて適正な会計処理であり、どの方法を採用しても会計処理自体はすべて適正である。不適正と判断されるのは、正当な理由がないのに採用する方法を変更した場合である。すなわち継続性の原則違反だ。

 棚卸資産の評価方法のように、適正な会計処理が複数認められる場合は継続性の原則が非常に重要になる。

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   まとめ

 ● 仕入れのうち、販売に対応する部分のみが売上原価として費用になり、残りは棚卸資産として資産に計上される。この処理の根拠は費用収益対応原則である。

 ● 在庫 (棚卸資産) はキャッシュフローを悪化させる。

 ● 期末棚卸資産の評価方法には、先入先出法、平均法などがある。採用する方法によって期末棚卸資産と売上原価の額は異なる。どれを採用するかは企業の任意なので、継続性の原則が重要になる。

  ( 引用 : MBA財務会計 ) 


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2013年04月28日

MBAの知識 − ファイナンス (20)

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売買取引

 それでは個別取引を見ていこう。最初は、ビジネスの基本であり、多くの人にとって身近な取引な取引である売買取引から見ていこう。ここでのポイントは発生主義である。

 “ 売買はツケが基本 ”

 企業が商品を購入したり販売したりする場合、同時に現金の授受をするようなことはしないのが普通である。例えば、物を購入する場合、当月末締めで購入先から請求書が送られてきて、翌月末にまとめて払うのが普通である。

売った側からしてみれば、物理的にモノを売ってから数か月遅れで現金が入る。つまり、ビジネスにおける売買は「ツケ」が基本である。ツケによる取引を掛取引という。

 このようにツケを基本とするのは、多数の売買取引の都度いちいち現金のやり取りをしていたら大変だからである。このように、一定期間相手に支払い猶予を与える取引を信用取引と言う。

 現金の支払についてはツケになっているが、売り手が販売し、買い手が購入したという事実は発生しているため、発生主義を大原則とする会計の立場としては、この事実を認識しなければならない。

 もし、100円の売買を現金取引でやったのであれば、売り手と買い手の取引は以下の仕訳で表現される。

売り手
( 借方 ) 現金   100  ( 貸方 ) 売上高   100
(B/S 資産の増加 )   (P/L 収益の増加 )

買い手
( 借方 ) 仕入  100   ( 貸方 ) 現金   100
(P/L 費用の増加 )      (B/S 資産の減少 )

売り手の仕訳は、売上高という収益が発生した結果、現金という資産が増加したことを表している。

一方、買い手の仕訳は、仕入という費用が発生した結果、現金という資産が減少したことを表している。

 では、これが現金取引ではなく信用取引になったらどうなるだろうか。信用取引であっても、発生主義の観点からは既に売上と仕入は発生している。違いは、現金の出入りはまだなく、ツケの状態であるという点である。

 会計では、このツケの状態を売掛金(accounts receivable : AP)という勘定を使って表現する。売掛金とは売り手の請求権(債権=資産)を意味し、買掛金とは買い手の支払い義務(債務=負債)を意味する。

 売掛金と買掛金を使うと、先ほどの取引で販売時、仕入れ時の仕訳は以下のようになる。

売り手
  ( 借方 ) 売掛金  100  ( 貸方 ) 売上高  100
       ( B/S 資産の増加 )       ( P/L 収益の増加 ) 

 買い手
 ( 借方 ) 仕入    100   ( 貸方 ) 買掛金 100
     ( P/L 費用の増加 )          ( B/S 負債の増加 ) 

これは、収益と費用が発生し、それに伴い債権と債務が増加したという取引である。この仕訳けにより、現金の移動がなくても収益と費用が認識されることになり、発生主義の要請を満たすことになる。

 一方、実際に入金と出金があったときは、以下のような取引が発生する。

 売り手
  ( 借方 ) 現金   100    ( 貸方 ) 売掛金  100
      ( B/S 資産の増加 )         ( B/S 資産の減少 )

 買い手
  ( 借方 ) 買掛金  100     ( 貸方 ) 現金  100
       ( B/S 負債の減少 )        ( B/S 資産の減少 )

 売り手の仕訳は、現金という資産の増加の結果、売掛金という債権 (資産) が消滅したということを意味しており、買い手の仕訳は、現金という資産の減少の結果、買掛金という債務 (負債) が消滅したということを意味している。

 いずれも、収益、費用とは切り離された債権、債務の増減取引である。

 ”売掛金すべてが回収できるとは限らない”

信用取引においては、収益と入金は切り離されている。実際に入金があるかどうかは債権回収の問題になる。

 販売先の経営状態が問題なければ、例えば当月締め翌月払いのように、予め約束した支払サイクル通りに入金されるだろう。しかし、販売先の経営状態が悪化し資金繰りが悪くなってくると、期限どおりに支払われなかったり、最悪の場合は踏み倒されることもあり得る。

 このような事態に備えて、会計では貸し倒れ引当金 ( allowance for bad debts ) を計上する。貸倒引当金とは、見込まれる損失額を費用として前倒しで計上するとともに、同額だけ債権額を減額するものである。

 のちほど詳しく説明するが、一般に引当金 ( allowance ) とは以下の4要件が満たされるときには必ず計上しなければならない。

 @ 将来の費用または損失

 A その原因が当期以前の事象に起因

 B 将来の費用または損失の発生可能性が低い

 C 将来の費用または損失の合計を合理的に見積もれる

 本質的な要件とは@ と Aであり、この要件が満たされるときに費用を前倒し計上する根拠は、原因は既に発生しているという発生主義であり、その原因を生んだ売上に対応させようという費用収益対応原則であり、バッド・ニュースは早めに開示しようという保守主義の原則である。

 今、期末の売掛金の残高が1,000円だとする。このうち、2%は回収不能になるということがかなりの確率で合理的に算定されたとする。このとき、貸倒引当金を計上する期においては以下のような仕訳が行なわれる。

 ( 借方 ) 貸倒引当金繰入額 20  ( 貸方 ) 貸倒引当金 20
   ( P/L 費用の増加 )        ( B/S 負債の増加 )

 貸倒引当金は将来のキャッシュ減額要因であるので負債であるが、貸借対照表上は売掛金から控除される形で計上される。この結果、売掛金は正味の回収可能額で表示されることになる。

 また、貸倒引当金繰入額は通常販売費及び一般管理費に計上され、この期の費用として処理される。

 翌期以降、実際に貸倒が起こった場合、以下のような仕訳をする。

  ( 借方 ) 貸倒引当金 20  ( 貸方 ) 売掛金 20
    ( B/S 負債の減少 )      ( B/S 資産の減少 )

 これは、売掛金という資産が実際に回収不能になったが、前期以前に予め認識してあった減収要因である貸倒引当金 ( 負債 ) を取り崩している処理である。

 貸倒引当金を計上した期に既に費用は計上しているので、実際に貸倒が発生した当期は、貸倒引当金という負債を取り崩すことによって費用は発生しない。

 逆に、実際には貸倒が発生しなかった場合には貸倒引当金を収益に戻し入れる。

  ( 借方 ) 貸倒引当金 20  ( 貸方 ) 貸倒引当金戻入益 20
    ( B/S 負債の減少 )      ( P/L 収益の増加 )

 当期に収益を20円増加させることによって、前期以前に前倒しで費用に計上した20円
を会計期間にまたがって帳消しするのである。この収益は前期以前に行なった処理の修正という性質を持つので、特別利益に計上される。

 まとめ

 ◎ 売る方も買う方も掛取引が基本

 ◎ 発生主義の下では、売買行為の発生とそれに伴う現金の支払回収は別個に認識・計上する。

 ◎ 売上債権には貸倒引当金を設定する。

( 引用: MBA 財務会計 3 ) 



 
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2013年01月27日

MBAの知識 − ファイナンス (19)  

 “ 簿記という技術 ”

 個別取引の会計処理を見ていく前に、まず簿記 ( Book keeping ) について見ていこう。

簿記は会計処理を記述するためのツールである。2つの表と5つの要素から成る財務諸表のマクロ構造ができていれば、簿記は単に財務諸表の必要な数行だけを切り出したものだと理解できるだろう。

 “ 会計上の 「取引」 の意義 ”

 会計の第一義的な役割は、企業活動を貨幣的単位で記録して報告することであった。企業活動を記録するための技術が簿記である。企業活動といっても、会計的に記録できるのは、資産、負債、資本、収益、費用の5つしかない。

 したがって、簿記によって記録されるのはこの5つの増減である。資産、負債、資本、収益、費用のいずれかに増減をもたらす事象を、会計の世界では取引という。

 例えば、火災による建物の損害や盗難による物品の喪失などは、一般的な用法では取引とは言わないが、会計上は資産の減少をもたらすので取引ということになる。

 それでは、資産、負債、資本、収益、費用の増減をどのように記録するのか順を追って見ていこう。

 “ 増加取引 ”

 会計の基本メカニズムは取引を原因と結果の2面から捉えることであった。例えば、売上により現金が100円増えたという取引は、 「 100円の売上げがあった 」 という原因によって 「 100円の現金が増えた 」 という結果を生んでいる。

 すなわち、貸方 ( 右側 ) の収益 ( 売上 ) が増えたことによって、借方 ( 左側 ) の資産 ( 現金 ) が増えるわけである。

 この増減関係をいちいち財務諸表を使って記録するのは大変である。そこで簿記では必要な部分だけを抜き出して以下のように表現する。

 (借方)  現金 100     (貸方) 売上高 100
  < B/S 資産の増加 >      < P/L 収益の増加 >

 簿記では、このように借方と貸方に分けて取引を記録することを仕訳という。

 “ 減少取引 ”

 もう一つ取引の例を考えてみよう。 「 貸していたお金が返ってきて、現金が100円増えた 」 という取引はどうだろうか?
 
 この場合は、 「 100円貸付金が減少した 」 という原因によって、
「 100円現金が増加した 」 という結果を生んでいる。

 ここでは、貸付金の 「減少」 をどのように表現するかがポイントである。

 これを抜き出すと次のような表現になるだろう。

 (借方)  現金 100  (貸方)  なし
  < B/S 資産の増加 >
       貸付金100
  < B/S 資産の減少 >
   
  このような表現でもいいのだろうか?
簿記のルールでは 「 マイナス 」 は使わないことになっている。その代わりに減少の取引はホームポジションと反対側に書くことになっている。

この例では、減少している貸付金は資産であるのでホームポジションは借方 (左側) である。したがって、その減少を表現するにはホームポジションと反対の貸方 (右側) に書いてやればよい。

 (借方) 現金  100    (貸方) 貸付金  100
 < B/S 資産の増加 >      < B/S 資産の減少 >

 こうすることによって、すべて足し算だけで資産、負債、資本、収益、費用の増減取引を記録できることになる。それを可能にするためには、それぞれのホームポジションが左右どちらかを理解していることがポイントとなる。

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 
 
 まとめ

 ● 資産、負債、資本、収益、費用のいずれかに増減をもたらす事象を会計上、 「取引」 という。

 ● 簿記は、取引を原因と結果の二面から把握するためのツール。

 ● 簿記は、財務諸表を構成する5つの要素の増減を、必要な個所だけ切り出して表現する。

 ● 簿記を理解するポイントは、5つの要素のホームポジションが左右どちらかを覚えていること

 ( 引用: MBA 財務会計 3 ) 


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2012年12月30日

MBAの知識 − ファイナンス (18)

 ファイナンス (18) 経営における会計の意味

 前章までで会計の原理・原則は一通り説明した。今回は、経営における会計の意味を考えてみたい。

 “ 利益が出ていれば儲かっているのか ”

 「 儲かっているとはどういうことか 」 と問われれば、利益が出ていると答えるだろう。
しかし、この利益は、ゴーイング・コンサーンという大前提の下で、しかたがないから1年毎に区切って評価しましょうという発想で計算されたものである。

それを実現させているのが、発生主義や費用収益対等原則という 「 各期に平均的にならす 」 手法である。複数の投資案件やその他の活動が、それぞれの期にならされた結果の合計が利益となって現われるのである。

損益計算書のところで述べたとおり、本来、儲かっているとは、投資案件ごとに期をまたがってヨコに判断すべきものである。つまり、投資の効果が継続する期間にわたって得られるトータルのリターンが最初に投下した資金を上回ったのか否かで判断すべきなのである。

期をまたがってヨコに見るのであれば、ならす必要はなくなるので、発生主義も費用収益対応原則も関係なく、キャッシュベースで素直に見ればいい。このように、制度会計によって計算される利益が出ているからといって、本当の意味で儲かっているとは限らないのである。

“ 利益が出ていないと倒産するのか ”

逆に、会計上の利益が出ていない場合、それはどれくらいの危険性を意味するのだろうか。例えば、即倒産というようなことはあり得るのだろうか。

倒産とはキャッシュがなくなる現象である。赤字が続いたからといって、それが直接の倒産の原因となることはない。赤字が続けば、キャッシュも目減りしていくのが普通だろうから、倒産の間接的原因となることは間違いないが、借り入れや増資などでどこからか資金を調達できれば倒産することはない。

逆に、会計上黒字でも、手元の運転資金がカツカツのところは、入金のタイミングより出金のタイミングが1日早く来てしまっただけで倒産することもあり得る。

企業も金の切れ目が縁の切れ目なのであって、会計上の赤字が倒産の直接的原因となることはない。

“ 会計上の利益の意義は何か ” 

このように、会計上の利益は本当の意味で儲かったかどうかを判断する指標としては今ひとつであり、また倒産の直接の原因にもならない。そうなると一体会計上の利益の意義は何なのだろうか。

まず、会社全体のマクロ的な指標という意義がある。厳密には個別の案件ごとにヨコに見て判断するものだといっても、 「 全体としてどうなんだ 」 ということも当然知りたい。特に、個別に見ている時間がない人や、個別のことまでは関心がない人にとっては、 「 全体としてはどうなんだ 」 というのは一番の関心事と言える。

会計上の利益はそれに応える指標である。逆に言えば、ミクロなことは見えないので、その限界は充分に認識する必要がある。

そして何より、制度会計によって計算される毎期の利益の意義は、富の配分原子ということである。富の配分対象となる利害関係者には、取引先、従業員、債権者、政府、株主がいる。損益計算書における利益の計算プロセスは、正にこれらの利害関係者に対する富の配分プロセスと言える。

会計制度は、複数の利害関係者間で富の配分が不公平にならないようにするためのルールなのである。

◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

 利益計算は富の配分課程

売上高
売上原価 → 仕入業者等
--------------------
売上総利益 (粗利)
販売費及び一般管理費 → 従業員 (給与)、業者(経費)
--------------------
営業利益
営業外収益
--------------------
事業利益
営業外費用 → 債権者 (利息)
--------------------
経常利益
法人税等 → 政府
--------------------
税引後当期利益 → 株主 (配当、内部留保)、役員 (賞与)

“ 経営者の役割 ”

 制度会計は富の配分原資を計算するためのルールである。ルールである以上、みんながそれに従うということに意義があるという割り切りが必要である。一番重要なことは、制度に振り回されないようにすることである。

経営者として重要なことは、本当に儲かっているかどうかが判断できる指標を決め、それをモニタリングし、必要な具体的アクションをとることである。経営者はアクションを起こすことが最も重要であって、数字を読むのはその手段にすぎない。

 また、アクションを起こす判断材料にならないような数字では意味がない。これを可能にするには、制度会計とは別次元のしくみを作る必要がある。それが管理会計である。

 管理会計の基本は、ミクロに管理することである。ミクロに管理するためには、管理単位を可能な限り小さくする必要がある。そして、小さくした管理単位ごとに収益性の管理をするのである。

管理単位の細分化には、組織別、商品別、顧客別、販売チャネル別等、いろいろな切り口があるだろう。具体的な管理指標は切り口ごとに当然変わってくる。また、くどいうようだが、切り口ごとに期をまたがってヨコでみなければならない。

ミクロで採算が合っていれば、マクロでは必ず儲かっている。ある会社では5〜6人規模のチーム制を導入し、チームへの大幅な権限移譲とチーム単位の目標業績管理を行い、個人のボーナスもチームの業績にダイレクトに連動するようにした。

 この結果、飛躍的に会社全体の業績が向上した。ミクロで儲かっていれば、その足し算であるマクロでは必ず儲かるという、極めて当然かつシンプルな原理である。京セラにおける有名なアメーバ経営も、本質は管理単位の細分化である。

ミクロで管理できていれば、マクロ的指標である制度会計上の利益も制御可能である。逆に、ミクロで管理できていなければ、制度会計上の利益がよくても悪くても、その理由が分からない。説明可能な状態、つまりaccountable な状態にしておくことこそ、経営者の役割である。

そうすることによって、最終的目的である株主へのリターンの原資である制度会計上の利益も accountable になるのである。

◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

 まとめ

● 制度会計上の利益は富の配分原資。会計は、富の配分という利害調整のためのルール。

● 経営者は、制度会計上の利益と経営管理指標を混同してはならない。有効な経営管理のためには、制度会計とは別に管理会計の仕組みを構築する必要がある。

● 管理会計の基本は、ミクロマネジメント

 ( 引用 : MBA 財務会計 ) 


 【 ビジネスマンの基礎知識としてのMBA入門 − 早稲田大学ビジネススクール 】

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2012年11月04日

MBAの知識 − ファイナンス (17)

  損益計算書のミクロ構造                    

 ユニクロや楽天が社内公用語を英語とし、吉野家、サンリオ、ファミリーマート、サマンサタバサ・ジャパン・リミテッドと、日本を代表する消費財企業が世界シェアを目指してどんどん海外進出しています。

 グローバル経済化がますます進む中、私たちビジネスマンは、欧米のビッグビジネスと北米、欧州、アジア、アフリカと、世界のあちこちでガチンコ対決を強いられるわけです。

 欧米のビッグビジネス ( 大企業 ) では、経営陣の3人に1人くらいの割合で、MBA ( Master of Business Administration : 経営学修士 ) を取得し、それをキャリアパスに使っています。

 ところが私たちが欧米の経営大学院に2年間留学しようとすると、学費、生活費あわせて2000万円も貯金しなくてはならず、狭き門です。

 このコーナーでは、学位こそ取れないものの、知識だけは欧米のビッグビジネスの経営陣と対等なレベルに立てる ” 新しい社会のインフラ ” を創っていきます。 

 ファイナンス (17) 損益計算書のミクロ構造

 特別利益、特別損失は異常事態による損益

経常利益までが経常的に発生する利益ということは、その下で加減される特別利益と特別損失は経常的に発生しない収益と費用ということになる。つまり、異常事態によるものである。

異常事態として最もわかりやすいのは、災害で何かが焼失してしまったような場合である。これに伴う損失は、正に特別損失に計上される。

固定資産の売却損益も特別利益か特別損失に計上される。なぜ固定資産の売却益がここに計上されるかというと、固定資産というのは長期的に使うことを予定しているものなので、それを手放すことは基本的に予定していないからである。

つまり、手放すこと自体、何年または何十年かに一度しか起こらない異常事態なのである。

上記のような異常事態以外にも、前年度以前の修正項目も特別利益・特別損失に計上される。これは当期に発生した損益と区別するためにここに計上される。

当期純利益、当期未処分利益

経常利益に特別利益・特別損失を加減すれば、最終的な利益である税金等調整前当期純利益 ( income before income taxes ) が計算される。ここから法人税、住民税、事業税 ( この3つを合わせて 「 法人税等 」 という ) が引かれる。

損益計算書の見かけ上は税金等調整前純利益に対して税金がかかってくるように見えるが、既に説明したとおり利益と課税所得は異なるので、数値上は税金等調整前当期純利益と法人税等とは全くといっていいほど相関関係がない。

そこで法人税等調整額で調整して、表示上相関関係があるようにしている。このような調整をする会計を税効果会計という。

上記のプロセスを経て、やっと税金調整後の当期純利益 ( current net income ) が出る。損益計算書の本来の機能はここで終わりだが、ここからさらに前期からの繰越利益を足すことになっている。

前期からの繰越利益とは、前期に配当や役員賞与などを払った残りを企業内部に置いておいた留保利益である。当期純利益に繰越利益を足したものは、当期の配当や役員賞与の原資になる。

この処分は決算から3ヶ月以内に開かれる株主総会で決められるので、決算時点その処遇はまだ決まっていない。それで、未処分利益というのである。
 
  損益計算書で計算される利益の意味 

 すでに説明したように、損益計算書で計算される利益は、ゴーイング・コンサーンの前提の下で人為的に区切った会計期間中に発生した収益と費用の差である。

 そして、次の会計期間になると損益計算書はすべてリセットされ、また新たに利益を計算し直すということを繰り返すようになっている。 「 損益計算書は期間損益を計算する 」 と言われるが、それはこのことを言っている。

 損益計算書が毎期リセットされるというのはくせものである。例えば、前期が赤字でも、今期が黒字になれば、前期の赤字は水に流されがちになる。しかし、本来 「 儲かった 」 ということは、最初の元手を上回る財産を築くことである。

 現在の企業においては、これはどのように考えればいいのだろうか。

 企業活動といのうは、大小含めて、投資の集合といえる。大きな設備投資をして、それによって製品を製造して販売するのも投資だし、商品を仕入れて売るというのも、言ってみれば極めて短期間に完結する投資である。

 財務諸表はこれをマクロに見たものであり、貸借対照表の総資産が投資の総額であり、損益計算書で計算される利益が各投資から得られるリターンの合計というわけである。

 そうなると、 「 儲かった 」 と言えるためにには、個々の投資において投下資本を上回る財産が築けなければならない。したがって、儲かっているかどうかは、会計期間を超えて投資プロジェクト単位に
 「 ヨコ 」  に見て判断するべきなのである。

 これに対して、制度会計で計算される期間損益は、同一の会計期間に属している複数の投資プロジェクトを会計期間の範囲内で 「 タテ 」 に足したものである。

このようにタテに足しても判断がつくように各会計期間で平準化されるようにしてあるのが制度会計であるが、それでも期間損益が出ているからといって必ずしも儲かっているとは限らない。制度会計で計算される利益の限界である。

◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

まとめ

● 売上総利益 ( 粗利 ) は、売上から直接的なコストだけを差し引いた利益。これが全ての原資になる。
● 営業利益は本業利益。
● 経常利益には財務損益である営業外損益までが含まれる。ここまでが経常的に発生する利益。
● 特別損益は異常事態に伴う損益。
● 損益計算書で計算される利益は、複数のプロジェクトが会計期間ごとに平準化されて 「 タテ 」 に足された利益。本当に儲かっているかどうかは、プロジェクトごとに会計期間を超えて横に見なければ分からない。

 ( 引用 : MBA 財務会計 ) 


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2012年10月14日

MBAの知識 − ファイナンス (16)

  損益計算書のミクロ構造                    

 ユニクロや楽天が社内公用語を英語とし、吉野家、サンリオ、ファミリーマート、サマンサタバサ・ジャパン・リミテッドと、日本を代表する消費財企業が世界シェア−を目指してどんどん海外進出しています。

 グローバル経済がますます進む中、私たちビジネスマンは、欧米のビッグビジネスと北米、欧州、アジア、アフリカと、世界のあちこちでガチンコ対決を強いられるわけです。

 欧米のビッグビジネス ( 大企業 ) では、経営陣の3人に1人くらいの割合で、MBA ( Master of Business Administration : 経営学修士 ) を取得し、それをキャリアパスに使っています。

 ところが私たちが欧米の経営大学院に2年留学しようとすると、学費、生活費あわせて2000万円も貯金しなくてはならず、狭き門です。

 このコーナーでは、学位こそ取れないものの、知識だけは欧米のビッグビジネスの経営陣と対等なレベルに立てる ” 新しい社会のインフラ ” を創っていきます。 

 ファイナンス (16) 損益計算書のミクロ構造

 前回は貸借対照表のミクロ構造を見たので、次に損益計算書のミクロ構造を見てみよう。

 損益計算書は、営業利益や経常利益など、何段階かに分けて利益を計算する構造になっている。損益計算書のミクロ構造を理解するには、これらの利益がそれぞれ何を意味するかを理解することがポイントとなる。

 損益計算書の形式

 損益計算書の原理的な構造は、貸借対照表と同様に左右に分けた表の借方 ( 左側 ) に費用、貸方 ( 右側 ) に収益を集計するが、一般的には収益と費用をそれぞれの性質に分けて、上から順に足したり引いたりする以下のような表示形式が取られている。

こうすることにより段階的に利益を計算し、表示することができる。

 売上総利益は全ての原資

 まず、最初の売上高 ( Sales ) であるが、これは本業による収益のことである。商社であれば仕入れた商品を売ったことによる収益であり、製造業であれば作った製品を売ったことによる収益である。

 また、サービス業であればサービスを提供したことに対する対価としての収益である。

 売上原価 ( Cost of Goods Sold ) は、売上に直接的にかかった費用である。商社であれば商品の仕入原価、製造業であれば製品の製造コスト、サービス業であればサービス提供に直接的にかかった諸経費である。

 売上高から売上原価を引いたものを売上総利益 ( Gross profit on sales ) という。俗に言う粗利である。この時点では、営業コストやさまざまな間接業務にかかるコストは入っていない。商品や製品単独での利益である。
 
 もし、売上総利益がマイナスであれば、売るだけ赤字を垂れ流すだけなので、その商売はやる意味がないことになる。通常は売上総利益はプラスになり、営業や間接業務を含むすべての企業活動を維持するための原資となる。

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

 損益計算書 ( P/ L )

 T 売上高      XXX
 U 売上原価
 1.  期首商品棚卸高 XXX
 2.  当期商品仕入高 XXX
      合計      XXX
 3.  期末商品棚卸高 XXX
     売上総利益    XXXX

 V 販売費及び一般管理費
    販売手数料     XXX
    広告宣伝費     XXX
    給料        XXX
    賞与        XXX
    貸倒引当金繰入額  XXX
    減価償却費     XXX
    その他       XXX
     営業利益       XXXX  ( 本業による利益 ) 

 W 営業外利益
   受取利息       XXX
   受取配当金      XXX
   その他        XXX

 X 営業外費用       XXX
   支払利息        XXX
   その他         XXX
     経常利益       XXXX ( 財務活動を含む正常な企業活動による利益 ) 

  Y 特別利益
   固定資産売却益  XXX
   貸倒引当金戻入額  XXX
   その他      XXX

  Z 特別損失
   固定資産売却損  XXX
   その他      XXX
   税金等調整前当期純利益 XXX   ( 異常な損益を含む税引前の最終利益 ) 
   法人税、住民税及び事業税 XXX
   法人税等調整額      XXX
   当期純利益        XXX
   前期繰越利益       XXX
   当期未処分利益      XXX

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎  
 
  営業利益は本業利益

 売上総利益から販売費及び一般管理費 ( Selling, General and administrative expense ) を控除すると営業利益 ( Operating profit ) になる。

 販売費及び一般管理費は、その名の通り販売にかかる費用と一般管理にかかる費用である。会社の商品や製品を売るためには、営業もやらなければならないし、管理活動も必要になる。

 したがって、販売費および一般管理費までが本業に伴って発生する費用ということになる。したがって、ここまでを含めた営業利益は 「 本業による利益 」 である。

 経常利益は経常的に発生する利益 

 営業利益に営業外収益 ( Over expense ) を加え、営業外費用 ( Non-operating Expenses ) を差し引くと経常利益 ( Ordinary profit ) になる。

 営業外収益、営業外費用の 「 営業外 」 とは本業以外という意味である。典型的には財務活動に関連する収益と費用である。

 例えば、余剰資金を運用したり貸したりしたことによる受取利息や受取配当金が営業外収益の代表的な項目であり、逆に借入に伴う支払利息が営業外費用の代表的項目である。

 営業外収益と営業外費用は本業以外の活動により発生するものであるが、それでも組織の一部である財務部などが日々経常的に活動していることにより発生するものである。

 したがって、ここまで含めた利益が経常的に発生する利益といえる。それで経常利益という。

 ( 引用 : MBA 財務会計 ) 

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2012年09月09日

MBAの知識 − ベーシックス (66)

【 この連載は下記のカテゴリー欄より通してご覧になれます 】

 日本型人事政策の今後 

 経済の構造変化は終身雇用、年功序列による日本企業の人事管理制度にも変革を迫っている。もはや成長がビルトインできない経済では、終身雇用、年功序列を単純に継続することはできない。今後は、 @ 能力主義の導入、A 責任と権限の明確化、B 戦略型経営者の育成が必要となる。

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

 【 高度成長経済と日本の人事政策 】

 日本の人事政策の基本は、終身雇用、年功序列とそれを支える定期採用、同期管理である。終身雇用は、年率10%を超えるような高度経済成長にあって、競争力の源泉たる熟練労働者の確保という目標を具現化しようとしたものであった。

 キャッチアップ型経済においては、経験を積むこと、すなわち年功を積むことが会社の発展を促すものであり、年功序列は業績達成度によって評価した結果とも大きく乖離 (かいり) するものではなかった。

 終身雇用が定着すると、優秀な人材確保のためには定期採用市場しかなくなった。加えて、同期管理と最小限の評価格差により、できるかぎり長期間活発な従業員競争をさせる仕組みをつくり上げた。

 こういったサイクルは、会社が一定以上の成長を続けているかぎりうまく機能したのである。

 【 能力主義の導入 】

 日本企業の人事政策は大きな試練を迎えている。低成長期においては出向などによって人員構成を是正するか、能力主義を導入して新たな資格・役職構成をつくり上げるか、年功序列を残しながら全体の給与水準を競争力のあるところまで下げるといった方法をとらなければならない。

 能力主義を導入すると、従来型の終身雇用・年功序列制の良い面を多かれ少なかれ阻害する。したがって、今後の人事部門の課題は、終身雇用・年功序列制の良い面を極力残しつつ、能力主義の良い面を導入することである。

 具体的には、一定年齢からの導入、職種を絞った選択的導入、名誉と待遇の分離、年収におけるベース給与比率 ( 年功的給与 ) を下げボーナス比率 ( 業績対応 ) を上げるような給与制度の導入、ホワイトカラー比率の低下 ( 少数の幹部候補生とグレーカラー層の分離 ) などの検討が考えられる。

 【 責任と権限の明確化 】
 かつては、組織目標が明確に与えられなくても、組織は迷走することなく一定の方向に向かって行進した。

 しかし、明確な組織目標が所与ではなく、組織課題の優先順位をトップが明示しなければならない時代に入ってくると、責任や権限のあいまいさは、議論ばかりが堂々巡りして結論の出ない無責任体制、さらにはルーティン・ワーク以外には手を出そうとしない消極的態度を招き、重要課題が常に後回しになり、企業の競争力を著しく損なうことになる。

 「 あいまいさ 」 による組織管理が功を奏した時代が終わり、戦略を持った組織運営、責任と権限の明確化など、狙いを定めた施策を導入し、その施策がもたらした効果を分析し、成功、失敗の双方から学んで、常により良い組織をつくっていかねばならない。

 【 戦略型経営者の育成 】

 低成長時代だからといって、企業はゼロ成長に甘んじようとはしない。したがって、従来よりも少ないビジネスチャンスの中から成功を導き出し、創造性、独創性を持って戦略的判断のできる経営者をいかにして育てるかという課題がある。

 そのような経営者は経験重視、前例主義の組織から突然変異的に出てくるものではなく、創造性や独創性を重んじる評価制度、組織風土の中から育ってくるものである。

 そのためにはリスクを嫌う日本の人事制度を意識して変えていかなければならない。経営者は勝手に育ってくるのではなく、育成されるのであり、そのための仕組みづくりをすべきである。

 また、経営環境があいまいで不確実であるため、組織を引っ張るのに単なる説得力を超えたリーダーシップが重要になってくる。

 だれにでもはっきりわかる目標を打ち出し、価値観を共有させることによって、組織のエネルギーを引き出せるようなリーダーを発見し、組織ぐるみで育成しなければならないのである。

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

 人事政策の変革  

 成長期

 → 売上成長 → 終身雇用 → 年功序列 → 定期採用 → 同期管理 → 長期的従業員間競争 → 売上成長へ

 成熟期・低成長期

 → 創造性重視の組織風土 → 戦略型経営者 → 責任と権限の明確化 → 能力主義 → 人材流動化 → 創造性重視の組織風土へ

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

 ( 引用 : MBAマネジメントブック )



 【 ビジネスマンの基礎知識としてのMBA入門 − 早稲田大学ビジネススクール 】

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2012年08月25日

MBAの知識 − ベーシックス (65)

【 この連載は下記のカテゴリー欄より通してご覧になれます 】

 変革のリーダーシップ 

 日本が戦後初めて経験している低成長経済にあって、戦略、組織、人事政策など、企業経営における変革が最重要課題となっている。変化をマネージするためには、 @ 組織の危機を察知し、 A 新しいビジョンを提示して、B 適切な方向に人々を導く 「 変革型リーダー 」 の活躍が必要になる。

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

  ゆでがえる現象  

 「 熱い湯の入った鍋にカエルを入れると、カエルは驚いて飛び出す。ところがカエルを水の入った鍋に入れ、それを火にかけると、だんだんと上昇する水温に気がつかないまま、カエルは数分でゆであがってしまう。 」  

 これまでに、多くの伝統ある企業、特に大企業がこうした 「 ゆでがえる現象 」 に陥ってしまった。IBMは、1980年代の後半にメインフレーム・コンピュータを取り巻く環境変化を早く察知できなかったため、多大なダメージを受けた。

 こうしたゆでガエル現象を避けるために、企業は環境に対応した変革を図り、組織を活性化していかなければならない。

 【 企業変革の3幕劇 】

 企業変革は、歓びと哀しみをともに秘めた人間のドラマである。変革へのドラマは3つのテーマを中心に展開されている。

 ミシガン・ビジネススクールのN.ティシーは、企業が変化の必要性に対して苦闘する様子が、3幕ものの演劇の筋書きの展開に酷似していることに注目し、これを 「 企業変革の3幕劇 」 と名付けた。

 ● 第1幕 「 生気回復の必要性の認識 」

    危機を認識し、脅威に対して企業を目覚めさせ、ゆでガエル現象を回避しようとするときに、リーダーが遭遇するいろいろな課題がここでの中心となる。

 ● 第2幕 「 新しいビジョンの創造 」

  人々に新しいビジョンを示し、興奮を与え、変革への動機づけを行おうとしてリーダーが奮闘する場面である。

 ● 第3幕 「 変化の制度化 」
 
  リーダーは、新しいビジョンを実現し、変革が生き残るように制度づくりを行う。

 そして、このドラマの終わりの後に、新たなる環境変化に応じて第1幕の幕が新たに上がるのである。

 【 変革型リーダー 】

 こうした変革を、触媒として推し進めるのが変革型リーダーである。変革型リーダーは、組織の危機をいち早く察知して人々に警告を発する。そして新しいビジョンを人々に示し、共感を得ることのできるリーダーである。

 変革型リーダーは、これまでの歴史上、企業だけでなく宗教的・軍事的・社会的グループにも登場している。キリスト、ガンジー、キング牧師などはすべて変革型リーダーである。

 こうしたリーダーの役割は困難で犠牲も大きい。彼らは、いずれも人々に新しいビジョンを示し、希望と勇気を与えたが、変革の過程で自らの生命を犠牲にしたのである。

 閉塞感に包まれる現代の日本企業にとってこうした変革型リーダーの待望されるとき
である。こうしたリーダーを育成するようなキャリア・デベロップメントを人事システムに組み込むことが、これからの企業の人事・組織政策の課題である。

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

“ 変革型のリーダーシップ ・・・ その3幕ドラマ ”
 プロローグ ・・・ 新しい世界的な競争

  改革への起爆剤 ( トリガー ) 
 
        ↓

 第1幕・・・生気回復の必要性を認識すること

 1) 組織ダイナミックス
 
 改革の必要性
 ● 変革の必要性の痛感
 ● 変化への抵抗
 ● 即効薬の回避

 2) 個人ダイナミックス
 
  終結化
 ● 過去からの解放
 ● 過去との断絶
 ● 迷妄からの覚醒への対応

 第2幕・・・新しいビジョンの創造
   
 1) 組織ダイナミックス
  
  動機づけへのビジョン
 ● ビジョンの創造
 ● ヤル気の総動員

 3) 個人ダイナミックス

 移行過程
 ● 組織の死と再生のプロセス
 ● 終結と新しいスタートへの見通し

 第3幕・・・変化を制度化する

 1) 組織ダイナミックス
 
 社会的システムの構築
 ● 創造的破壊
 ● 人間的結びつきの再編成
 ● 人間の動機づけ

 2) 個人ダイナミックス

 新しいスタート
 ● 内部の再編成
 ● 新しい筋書設定
 ● 新たなエネルギー

  ≪ エピローグ ・・・ 歴史は繰り返す ≫ 

   ―――― > プロローグへ

  ( つづく)

 ( 引用: MBAマネジメント・ブック ) 
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2012年08月05日

MBAの知識 − ベーシックス (64)

【 この連載は下記のカテゴリー欄より通してご覧になれます 】

 能力開発 

 個人の能力は @ 知識 ( Knowledge )、 A スキル ( Skill )、 B 業務に取り組む姿勢 ( Attitude )、 C 経験 ( Experience ) の要素によって総合的に表現される。

 能力開発については、企業内研修の実施や社外教育機関への派遣と同時に、オン・ザ・ジョブ・トレーニング ( OJT ) や職務経験を通したキャリア開発が重要視される。

◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

  能力開発と経験  

 人が何かに没頭しているとき、しばしば無心の中で絶頂感を味わうことがある。チクスゼントミハイリ ( M. Csikszentmihalyi ) はこうした状況をフロー ( Flow ) と呼んでいる。

 フローの状況にあるとき、個人は周りの環境と一体となり、無意識のうちに持っているスキルをフルに使い、限界以上の能力を発揮することができる。

 オリンピックで、予想外の選手が実力以上の力を発揮し優勝したりするとき、このフローの状態に到達しているといわれている。

そして、120%の力を出した優勝者が、その後も優れた成績を上げていることが多いように、フローを経験した個人は、まるで脱皮をしたかのように持てる能力がレベルアップする。

企業においても、 「 ポジションが人を育てる 」 といわれているように、最大限能力を発揮し、フローを感じられるような職務を数多く経験することが能力開発のポイントである。

 企業から見たキャリア開発 

 キャリア開発が第一義的には社員の課題であるにせよ、社員が目標を持ってキャリア開発することが企業のポテンシャル・アップにつながる。

したがって、企業は組織としての基本的な目標を達成するための指針を与え、その方向に沿って社員がキャリア・プランニングすることを奨励し、その実践をサポートすべきである。

企業の提供しうるキャリア開発手段としては、教育、異動、昇進などがある。

企業側から見たときのキャリア開発、特に人事異動の目的は、適材適所の配置による組織効率の向上、組織の刺激・活性化、部門を超えた幅広い知識と人脈の形成、そしてそれによる組織間セクショナリズムの打破、個人の能力開発・意欲向上、マンネリズムの打破と動機づけなどである。

 しかしながら、各組織はどうしても短期の組織効率に重点を置きがちとなる。人事部門は企業全体としてのポテンシャル向上に特に留意しなければならない。

 人事異動の形態  

 人事異動には、伝統的キャリアパス、異分野交流キャリアパス、複線キャリアパスといった形態がある。

● 伝統的キャリアパス − 同一職能群内での縦系列の異動で、職位や役職の変更を伴うものである。この異動は社員が自分のキャリアパスとしてわかりやすく、経験を積み重ね、それを活かすという点において優れている。

 しかしながら、昨今はダウンサイジングによる上位職位の数不足、幅広いスキルの必要性などによって、こういった単純な縦方向の異動の意義も小さくなってきている。

● 異分野交流キャリアパス − 事務と技術、管理と営業、製造と研究といった比較的垣根の高い分野間で異動による交流を持つことにより、従来にない型の人材を育成し、新たな価値を創造することに主眼を置く形態である。
 
 企業にとっても層の厚い人材育成ができるが、社員にあらかじめ特定のルートを示すことが難しいという欠点がある。

● 複線型キャリアパス − 縦方向の昇進だけではなく、スタッフや専門職として処遇していくようなキャリアパスを加え、個々の社員の適性、企業の戦略展開に応じていくつかの選択が可能になった。
 
 アメリカでは最近この複線型キャリアパスをとる企業が増えているが、日本でも技術の変化やポスト不足、高齢化の進展に伴い、キャリア選択の範囲がどんどん多様化してきている。

 伝統的キャリアパスと異分野交流キャリアパス 

@ 伝統的キャリアパス − 縦の動きしか存在しない
            − 昇進が重要
            − 上司の権力大
            − 役職・肩書に基づく報償

A 異分野交流キャリアパス − 縦、幅、奥行およびその組み合わせの多様な動き
             − どのような成果をどのように上げるかが重要
             − チームワーク
             − 業績・能力に基づく報償
 
( 引用 : MBAマネジメントブック )

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2012年07月22日

MBAの知識 Learning MBA basics ( 4 )

 ” 祝 ! ブログ記事1000回記念。 ”

 2009年5月に ”メディア・インタビュー” より始まりました当ブログが今回で1000記事を数えました。

 開設当時は1日50人の視聴者数でしたが、直近では2千人を超えております。 新しい知のインフラ として、これからも日本の経済にインパクトを与えていきたいと思います。

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  連載シリーズ ”MBAの知識” は現在、”ベーシックス” と ”ファイナンス” を並行しておりますが、輸入したテキストを使って3つ目の英語コースを始めます。

 留学する時間やおカネが無くても、無料のブログからMBAを学べる、”新しい社会のインフラ ” を作っていきます。経営学修士とビジネス英語の両方を学べるでしょう。

 英語の後に日本語訳が続きます。

 As in politics or sports, some people seem more naturally suited to managers than others. In our society, people often believe that men and women with a certain personality or appearance are best qualified to be managers.

 Often, however, it doesn’t work that way. Management isn’t about personality or appearance. I’ve known many managers with the so-called right image who were “ empty suits “.

 政治の世界であれスポーツの世界であれ、ある人は他の人よりもマネージャー風情が自然と身に付いている。

  我々の世界ではそれなりの人格や見かけを備えた男性、女性はマネージャーに最もふさわしいと信じがちである。それでも、思惑通りにいかないこともままある。マネジメントは人格や見かけで決まるわけではないのだ。

  わたしは Empty suits ( 空っぽのスーツ ) と呼ばれるまさにそのイメージを持った多くのマネージャーを知っている。

 It takes dedication to avoid being an empty suit, someone who enjoys being a manager but shirks the actual work. And it is work. A manager must think ahead several moves; planning is central to good management.

  A manager must deal skillfully with people, giving positive feedback for solid performance, helping those with performance problems, and, occasionally, terminating those who cannot improve their performance.

 だれかさんのように、マネージャーの地位を楽しみはするが実務からは逃げ回ろうとする輩 ( エンプティ・スーツ ) にならないためには、仕事に没頭する必要がある。それこそが仕事なのだ。

 マネージャーはいくつかの局面で先取りして考えなくてはいけない。 “ 計画 ”は良きマネージャーであるための中核をなす。

 マネージャーは人と上手に接し、堅実な業績にはポジティブな評価を与え、業績に問題が生じたときには部下を助け、時には改善できない部下を解雇しなくてはいけない。

Managers must keep financial considerations, as well as customers’ needs, front and center, because a business exists to make money by serving a customer need.

ビジネスとは、顧客のニーズに応え、金を稼ぐことにより存在するのだから、マネージャーは顧客のニーズを営業の前線でつかみ、財務的な問題をたえず考えていなければならない。

 Nonetheless, despite these “ musts “, some managers try to avoid stepping up to all the responsibilities of managing.

 Some managers fail to plan realistically, don’t develop their interpersonal skills, or lose sight of financial considerations and customer needs.

 Such managers not only make it tough for their employees, superiors, and customers, but they also give managers a bad name.

  They give people the idea that a manager is someone paid to do nothing – who “ watches while others do the work.”

 これら “マスト ( 必須 ) ” があるにもかかわらず、マネージャーの中には現実の管理業務を向上させようとしない者もいる。現実的に計画を立てるのに失敗し、対人関係スキルを開発しない、財務的な問題や顧客のニーズに疎いマネージャーが存在する。

 そのようなマネージャーは彼らの従業員、上役や顧客に難を与えるだけでなく、マネジメント全体の評価を落とし、 ” 何もしないのに金をもらっている “、 ” 人の仕事を監視しているだけだ “ 
という印象を与えるのだ。

 Managers who are worthy of the name take their responsibility and roles seriously.
 マネージャーという名に値する人は、責任をきちんと取り、役割を真剣に実行するのだ。

 A manager has an area of responsibility, an activity or a function that he or she is responsible for running. A financial manager is responsible for some area of finance.

In sales, an account manager is responsible for a specific department or region.

マネージャーには責任範囲があり、彼、彼女が責任を持って回していく活動や機能がある。財務担当のマネージャーは財務のある分野に責任を持つし、営業ではあるアカウント・マネージャーが特定の部や地域に責任を持つ。

 A manager’s role is to run his or her function properly. It may be as large as the entire company, as is the case for the chief executive officer ( CEO ), or it may be as small as the mailroom.

Whatever the area of responsibility, management comes down to doing a specific set of tasks well and consistently. Before we look at these tasks, let’s view the role of the manager in historical context.

マネージャーの役割は彼、彼女の機能を適切に実行していくことだ。それはCEO ( 最高経営責任者 )と同じように会社全体くらいに大きな役割かもしれないし、メールルームくらいに小さな役割かもしれない。

 責任範囲がどれほどのものであれ、現実の経営管理は業務の集積を表す。マネージャーであることは、結局これらの業務を絶えずよくすることなのである。この業務を見る前に、まず歴史的な文脈からマネージャーの役割を見てみよう。

 ( つづく ) 
訳: ヒデキ

dedication 貢献、ヤル気、専念
shirk 仕事や義務を怠けて回避する、責任のがれをする
none the less にもかかわらず
 come down to ~ と等しくなる

 ( 引用: MBA Basics THIRD EDITION )



【 ビジネスマンの基礎知識としてのMBA入門 早稲田大学ビジネススクール】

posted by ヒデキ at 22:39| Comment(4) | TrackBack(0) | MBAの知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月23日

MBAの知識 − ファイナンス (15) 外部拠出額: 資本金と資本準備金

 ユニクロや楽天が社内公用語を英語とし、吉野家、サンリオ、ファミリーマート、サマンサタバサ・ジャパン・リミテッドと、日本を代表する消費財企業が世界シェア−を目指してどんどん海外進出しています。

 グローバル経済がますます進む中、私たちビジネスマンは、欧米のビッグビジネスと北米、欧州、アジア、アフリカと、世界のあちこちでガチンコ対決を強いられるわけです。

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 ファイナンス (15) 外部拠出額: 資本金と資本準備金

 資本金と資本準備金は、株主から拠出された資金調達額を表している。株式の発行によって株主から拠出された額は資本金と誤解されがちであるが、現在の制度 ( 会社法 ) では必ずしもそうはなっていない。

 現在の制度では、株式を発行して資金調達をした場合、その全額を資本金としてもよいが、調達額の半分までは資本金にいれなくてもいいことになっている。この場合、残りの半分は資本準備金に計上される。

 例えば、株式を発行して100万円調達した場合、資本金50百万円、資本準備金50百万円という処理ができる。

 これ以外にも合併や減資などの少々特殊なケースで資本準備金に計上されることがあるが、いずれにしても資本準備金は、本来資本金に算入されるべきものが何らかの理由で資本金に算入されなかったものの受け皿という役割を果たす。

 株主から拠出された資金調達源という点では本質的に資本金と変わらない。

 このような処理が許容されているため、現在の資本金は株主から拠出された資金の額という役割は果たしていない。

 では資本金の役割は何かというと、
「 会社の財産を確保するための一定のハードル 」 である。言い換えれば、会社の財産がこれよりも下回ってはならないという基準値である。

 なぜこのような基準値を設けなければいけないかというと、それは債権者の保護のためである。前述したように、株式会社の株主は債権者に対して有限責任しか負っていないため、債権者にとって担保となるのは会社財産だけである。そこで、一定額の財産が会社に確保されるようにハードルを設けたのである。これが資本金である。

 ところで、ハードルは低いほうが何かと楽である。実際、会社法や税法には資本金が一定額以上になると 「 一人前の会社 」 とみなされ、会社に対する要求が厳しくなる制度がいくつかある。

 例えば、会社法では資本金が5億円以上になると公認会計士または監査法人の外部監査を受ける義務が生じるし、法人税法では資本金が5千万円を超えると交際費は一切損金として認められなくなる。

 このような規制があるので、資本金を必要以上に大きくしなくて済むようになっているのである。

 内部留保額: 利益準備金とその他の剰余金

 利益準備金とその他の剰余金は、利益が会社内部に留保された額を示している。外部から拠出された資本と異なり、企業が事業を通じて自ら生み出した財産の蓄積である。

 利益準備金とその他の剰余金は、利益の内部留保という点では同じであるが、利益準備金は会社の財産状態が悪化したときに備えて一定額に達するまで積み立てることが法的に強制されている点でその他の剰余金と異なっている。

 その他の剰余金は具体的には任意積立金や当期未処分利益からなる。前述したように、これらは株主総会における利益処分の結果、企業内部に留保することが決定されるものである。

 なお、資本準備金、利益準備金、任意積立金などは 「 積み立てる 」 という表現が用いられるが、これらは計算上の金額であり、預金等によって現実のキャッシュをどこかに積み立てるわけではない。

 これらの金額を貸借対照表上に計上することによって、間接的にキャッシュの流出を抑えるのである。
 
 配当可能限度額 

 利益は株主のものである。その直接的な還元方法は配当であるが、無制限に配当してキャッシュが流出すると今度は債権者の唯一の担保である会社財産を必要以上に減少させてしまうので、会社法は配当の上限を決めている。

 株式会社は、貸借対照表の純資産額から、資本の額、法定準備金の合計額、その決算期に積み立てなければならない利益準備金の額とその他の法務省令に定めた額を控除した額が剰余金の配当限度とされる。

 配当可能限度額は資本の額を基準に計算される。本来、内部留保額は利益の蓄積分であるのでこれは株主に帰属する。したがって、これが配当原資になるはずである。しかし、利益準備金は将来に備えて法的に拘束されているものなので、これを配当により社外に流出させるわけにはいかない。

 そこで、資本から、もともと株主から拠出された資本金と資本準備金に加えて、法的に拘束されている利益準備金を除いた部分をもって配当可能額とする。すなわち、任意積立金と当期未処分利益金の合計額が配当可能限度額である。

 配当可能限度額の計算方法からわかるように、単年度で利益が出たからといって即、配当できるわけではない。もし赤字続きで、利益ではなく損失が資本に累積していたら、配当可能額はゼロとなり、累積損失が一掃されるまで配当ができない状態が続くことになる。

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   まとめ

 ● 貸借対照表は、左右の関係は資金調達源泉とその運用状況という関係にあり、上下の関係は上から下に向かって流動性が低くなる関係にある。
 
 ● 流動・固定の分類は、正常循環営業基準、一年基準が基本となる。有価証券の場合は、これに所有目的基準が加味される。

 ● 繰延資産は政策的に資産に計上されたもので、本来は費用である。換金価値はない。

 ● 資本は、資金の外部拠出部分と利益の内部留保部分からなる。

 外部拠出部分 = 資本金+資本準備金

 内部留保 = 利益準備金+その他の剰余金

 ● 法定準備金 ( 資本準備金+利益準備金 ) は資本の欠損填補を第一義的な目的として法的に積み立てが強制される準備金。

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 【 引用: MBA財務会計 】

posted by ヒデキ at 17:46| Comment(0) | TrackBack(0) | MBAの知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月20日

MBAの知識 Learning MBA Basics (3)

 連載シリーズ ”MBAの知識” は現在、”ベーシックス” と ”ファイナンス” を並行しておりますが、輸入したテキストを使って3つ目の英語コースを始めます。

 留学する時間やおカネが無くても、無料のブログからMBAを学べる、”新しい社会のインフラ ” を作っていきます。経営学修士とビジネス英語の両方を学べるでしょう。

 英語の後に日本語訳が続きます。

 Part 1 : Managing People

 Management has been defined as “ the art and science of getting things done through people.”

 Of course, there are other areas of management: these include making decisions about plant and equipment, and managing the organization’s money and investment.

− 人を使う −

 経営とは、 “人を使って仕事をなしとげる芸術と科学である” と定義されてきた。もちろん経営には、工場や機器についての決定をしたり、組織のお金や投資を管理するといった他の面もある。

 However, most managers find managing people to be the most challenging aspect of the job. Those who succeed at it understand their role in a business and know a bit about organizational structure.

  They also know the difference between management and leadership, and they know when leadership is called for and how to exercise it.

しかし殆どのマネージャーは人を動かすことが仕事で最も難しい面だと認識している。それをうまくこなしているマネージャーはたいてい、ビジネスでの自身の役割を理解し、組織の構造についても少しは良く分かっている。

彼らはまた管理とリーダーシップの違いについて、またいつリーダーシップが必要とされ、どう実践するかも知っている。

They consistently practice certain managerial skills and use proven procedures for hiring the right people and guiding them toward their goals.

彼らは経営のスキルについて絶えず練習を積み、最良の人たちを雇い彼らをゴールに導く立証された手順を使っている。

These areas of management are all covered in Part 1 because most of what a manager gets done, gets done through others.
 
マネジメントに関する部分はすべてPart1で講義する。マネージャーが実行するほとんどのことは、他人を使ってやっているからである。

1. The Meaning of Management

In this Chapter
●  A (very) brief history of management
● A manager’s responsibility and role
● The Essential Six principles every manager must know



Imagine an army with no general, a team with no coach, or a nation with no leaders. How could the army beat the enemy? How could the team win games? How could the nation avoid anarchy?

  1. マネジメントの意味

この章で学ぶことは、
● とても簡潔なマネジメントの歴史について
● マネージャーの責任と役割
● すべてのマネージャーが知らなくてはいけない6つの重要な法則

将軍のいない軍隊、コーチのいないチーム、リーダーのいない国家を想像してみよ。どうやって軍隊は敵をうちまかせるだろう? どうやってチームは試合に勝つのだろう?どうやって国家は無政府状態から避けられるだろう?

  They couldn’t. Similarly, an organization can’t succeed without managers. Managers make sure that an organization stays, well, organized.

  できっこない。同様に、組織はマネージャーなしには成功できないのだ。マネージャーは組織がしっかりまわっていくのを確かにするのである。

  Organizing and directing the work of the people in the organization is the work of managers. People need organization and direction to work effectively, and managers provide just that.

  組織の人たちの仕事を統率し、指揮していくのはマネージャーの仕事である。人は組織と、効果的に働くための指示が必要で、それをまさに提供するのがマネージャーである。

  This chapter introduces you to the development and role of management and covers the key principles of managing any business.

 この章では、マネジメントの開発と役割、そしていかなるビジネスを管理するのにも共通する主な原則をご紹介する。

“ What Makes a Good Manager? “

 Management is generally defined as “ getting things done through others.”
This definition emphasizes that manager plans and guides the work of other people.

 Some (cynical) individuals think this means that managers don’t have any work to do themselves. As you will learn in this book ( if you don’t already know it), managers have an awful lot of work to do.

“ 何が良きマネージャーをつくるのか?“

  マネジメントとは一般に “ 人を使って仕事をなしとげる” と定義される。この定義はマネージャーが他人の仕事を手配し、導くことを大げさに表現している。

 一方で、 “ マネージャーが一人でやる仕事など何もない ” と考える (皮肉っぽい) 人もいるだろう。 

  この本で学ぶであろうが ( まだ知らないのであれば )、マネージャーは恐ろしいくらいの仕事を抱えているのである。

 Organizing and directing the work of others is known as administration. In a business, it is called business administration. ( In hospital, it is called healt-care administration. In a government agency, it is called public administration. )

 人の仕事を手配し、指示するのはアドミニストレーション (管理) と呼ばれる。ビジネスの世界ではビジネス・アドミニストレーション ( 経営管理 ) と呼ばれる。 ( 病院では健康管理と呼ばれ、政府機関ではパブリック・アドミニストレーション ( 行政 ) と呼ばれる。)

 Thus, business administration means managing a business, and an MBA – Master of Business Administration – degree prepares a person to manage a business.

  In a graduate-school MBA program, you learn about the structure, parts, and purpose of a business, and about the skills and tools you need to manage the business.

 このように、経営管理はビジネスを管理することを意味し、MBA ( 経営管理学修士 ) 課程は人がビジネスを管理するための準備をする。大学院の経営管理学修士課程で、あなたはビジネスの構造、部分、そして目的について学び、ビジネスを管理するためのスキルとツールについても学ぶのである。

  The skills include planning and leadership skills, and the tools include budgets, financial statements, and methods of analyzing business decisions.

 スキルは事業計画とリーダーシップ技能も含み、ツールは予算、財務諸表、ビジネスの意思決定を分析する方法を含む。

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 MBA Lingo – MBA用語

“Management” is the art and science of getting things done through others, generally by organizing and directing their activities on the job.

  A manager is therefore someone who defines, plans, guides, assists, and assesses the work of others, usually people for whom the manager is responsible in an organization.

“経営“ とは、人を使って仕事をなしとげる芸術と科学であり、彼らの仕事を手配したり指揮することによって行う。従ってマネージャーとは、他人の仕事を決め、計画し、導き、補助し、組織の中で部下にあたる人たちを査定する。

“Business Administration” means organizing and directing the activities of a business. An “ MBA” , Or Master of Business Administration, degree is a postgraduate degree from a university with a business school.

 Essentially, the program covers the structure and purpose of a business and its various functions, and the skills and tools needed to manage these functions – just as this book does.

 “経営管理” はビジネスの活動を組織し指揮することを意味する。 “MBA” またはマスター・オブ・ビジネス・アドミニストレーション ( 経営管理学修士 ) 課程は経営大学院を持つ大学での修士課程である。

   基本的には過程はビジネスの構造と目的、さまざまな機能について、そしてこれらの機能を管理するために必要なスキルとツールを履修する。この本も同様に!

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 ( 訳: ヒデキ、 引用: MBA Basics THIRD EDITION )

 ( つづく )

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2012年06月03日

MBAの知識 − ベーシックス ( 63 ) 報償 ( リワード )

【 この連載は下記のカテゴリー欄より通してご覧になれます 】

 MBAの知識 − ベーシックス ( 63 )  報償 ( Reward )

 報償とは、個人のサービスへの対価として企業から個人に対し支払われるものである。社員を動機づけるインセンティブを提供し、納得性がある制度を導入する必要がある。報償は、@ 水準、A 組み合わせ、B 評価等を考慮したうえで、金銭的報償と非金銭的報償を組み合わせて提供することで、最適な報償システムを形成すべきである。

  《 報償の3要素 》

 報償に関して考えるとき、3つの基本的な要素に分けて考えるとわかりやすい。

 ● 報償水準 : 報償水準は特に企業間の労働力流動性が高い場合ほど、重大な意味を持つ。同様の仕事なら給与の高いほうを選択するのが働く者の一般的判断だからである。また、報償水準を決めることは、会社として負担しうる人件費を決めることも意味している。

 ● 報償支払いの基礎となる項目の組み合わせ : 給与にしろ福利厚生部分にしろ、何を評価してベネフィットを与えるかで社員に対するインセンティブが変わってくる。

 また、どう組み合わせるかで会社にとってそれにかかるコストとベネフィットが変動する。

 ● 報償支払と評価 ( パフォーマンス ) の関係 : どう評価するかが重要なファクターであることは論をまたない。評価の仕方がフェアで納得性があってはじめて、社員を動機づけることができる。

  《 報償形態 》

 報償の形態には、大きく分けて金銭的報償と非金銭的報償がある。金銭的報償の中に給与やボーナスなどの直接的なものと、フリンジ・ベネフィットのひとつとして与えられる保険や教育に対する補助といった間接的なものがある。

 代表的な報償形態としては、給与 ( ペイ・フォー・パフォーマンス )、福利厚生 ( フ
リンジ・ベネフィット ) といった通常の報償システムと、会社として達成したい特別の目標達成を動機づけるためのインセンティブ・システム等がある。

 ● 給与: 業績評価に基づく通常の報償方法で、評価 ( 考課 ) 結果に基づいて、資格 ( 等級 )と考課結果のマトリックスによるテーブルなどで給与を決定する。

 多くの会社では給与や昇進 ( プロモーション ) のような評価に基づいた報償を実施しているが、単純な形態ではなく、その報償システムは評価に加えて、能力、年功・経験なども考慮に入れたところで個人間の差をつけるように設計されていることが多い。

 ● 福利厚生: 有給休暇や連続休暇制度、安全・健康に関する諸制度、教育、住宅などに対する補助金、年金制度などがある。最近アメリカでは、給与やさまざまなベネフィットの選択肢から自分でパッケージを選択して報償を受け取ることのできるカフェテリア・コンペンセーションという形態も出てきている。

 ● インセンティブ・システム : さまざまな形態のものが考案されている。ある期間の業績に対して一定の利益 (率) を社員に配分することを事前に取り決めておくことにより、社員が利益向上に努めることを目的にした制度がプロフィット。シェアリング ( 利益配分 ) である。

 さらに、管理者や役員に対して起用されるインセンティブとして、ストック・オプションがある。これは一定の株式を将来のある時点で、現在の価格ないしそれ以下で購入する権利を与えるものである。

 アメリカではこういう株式を使ったインセンティブ・システムが一般的になっているが、日本では自社株購入の制限があるため、ストック・オプションを実施することが困難である。

 インセンティブ・システムの採用には、留意しておかなければならないことがいくつかある。正確でしっかりしたパフォーマンス判定基準をつくればつくるほど、評価の融通性がなくなるという問題が発生する。

 また、短期的なアウトプットに比重をかけすぎた評価をすれば、社員が長期的視点を失いがちになる。事業部業績に重点を置いた場合、会社全体への貢献からかい離するケースもあるだろう。

 個人業績に偏重するとチームプレーを阻害し、組織としてのまとまりを欠く可能性があるなどさまざまな問題がある。このように、さまざまなトレードオフ関係を考慮したうえでインセンティブ・システムは構築されなければならないのである。

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 代表的な報償の例

 インセンティブ・システム − プロフィット・シェアリング (利益配分)
                ストック・オプション

 フリンジ・ベネフィット (福利厚生) − 健康保険、雇用保険、年金、利子補給等
                保養所、運動設備等の福利厚生設備

 給与 − ● 諸手当: 海外駐在手当、出張手当、在宅手当、残業手当等
      ● 資格給: 順位に基づく手当
      ● 基本給: 年功、能力、経験と残業への貢献度等を考慮する

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 『 世界のトップリーダー英語名言集 BUSINESS―夢を実現せよ、人を動かせ、創造せよ  』

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2012年05月20日

MBAの知識 − ベーシックス (62) 業績評価 ( パフォーマンス・エバリュエーション )

 【 この連載は下記のカテゴリー欄より通してご覧になれます 】

 ベーシックス (62) 業績評価 ( パフォーマンス・エバリュエーション ) 

 業績評価は、個々の社員の業務上のパフォーマンスを定期的に評価することで、組織の効率を高めることを目的としている。企業では、業績評価に相当の労力をかけながら、往々にしてそれを、人の評価・選抜、給与の支払いのみ活用している。

 しかしながら、評価の最終目的を組織効率の改善に置くと、さらに有効な活用が考えられる。

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 評価の活用方法

 適切な業績評価は、人事システムの要となる情報を提供する。

 ● 社員の最適配置への活用: 業績評価は社員の能力を最大限に発揮させるような昇進や再配置のための基礎データを提供するものである。

 ● 人材育成への活用: 業績評価を通じて個々の人材の得意、不得意がわかり、得意分野を伸ばし不得意分野を克服するためのインセンティブを与えることが可能になる。

また、組織全体についても同様にその強みと弱みがわかり、組織の強化を図るための対策立案が容易になる。

 ● 採用活動への活用: 出身校や出身学科、入社前のある種の経験などと会社での活躍との間に何らかの相関があれば、評価結果を採用活動にフィードバックして効果的な
   採用活動を行うことも可能である。

 《 評価に関する留意事項 》

 評価にあたっては業務目標の確定、個々の社員に対する期待レベルの設定・確認、実際の業務遂行、業績評価、評価に関する社員の面談という一連の手続きがあってはじめて、組織効率を上げるという評価の根本目標を達成することができる。

 しかし、どれほど慎重に評価のためのシステムを考え、精緻な方法を導入しても、業績評価が人間が人間を評価するものである以上、さまざまな問題点を内包している。

 ● 客観性の欠如: 業務に関連性の深いものは比較的客観評価しやすいが、仕事に対する取り組み方、会社に対するロイヤリティ、個性といった項目になると客観的な測定が困難であり、評価者の恣意性が入り込みやすい。
 
 ● 偏見: たとえば、ハロー評価といわれるものである。これはある評価項目に対する査定結果が強い印象となって、他の項目の評価に影響を与えることをいう。

また、至近実績偏見があり、同じような行動でも評価期間の終わりに近づくほど強い印象を与える。さらに、属性に関する偏見がある。性別、学歴、年齢などの部下のバックグラウンドによって差別的偏見が入ることがある。

 ● 平均化傾向: 業績には差があってもほとんどの部下が仕事に前向きに取り組んでいるような場合、心情的に大きな差がつけがたいと思う結果、評価が平均点付近に集中する傾向を示す。
 
 《 評価のフィードバック・メカニズム 》

 評価者より本人へのフィードバックがあってはじめて、長所を伸ばし、欠点を補うことができる。また、部下が評価結果に対してアクセスできるようにすることで、上司の恣意性が排除することができる。

 この点に関して日本企業は不明確な態度をとってきたが、評価に関する議論をオープンにし、その結果を本人に知らせる企業も増えつつある。

 一方、業績評価を本人へのフィードバックにとどめず、人事政策へのフィードバック・メカニズムをつくり、最適人員への配置、人材育成、採用活動等への活用や、新たな役割・目標設定による、より良い職務効果の達成が可能になる。

 この好循環によって、組織効率の改善を図ることができる。

 評価は、人の査定と育成を同時に達成しなければならないところに難しさがある。その結果は社員を強く動機づけもするが、失望させることもある。


 評価することにより、組織全体としての潜在能力をいかに上げていくかが重要である。それは評価システムの問題であると同時に、個々のマネージャーの組織行動上の課題でもある。

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 職務成果 ⇒ 業績評価 @ 分布規制法 A 評価点方式 B 目標管理法

 ⇒ フィードバック ⇒ 人事政策 @ 人員の最適配置 A 人材育成 B 採用活動 
 ⇒ 期待 ⇒ 役割・目標 ⇒ 行動 ⇒ 職務成果

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   ( 引用 : グロービス MBAマネジメントブック ) 

 
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2012年05月04日

MBAの知識 − ファイナンス (14) 貸借対照表のミクロ構造

 ユニクロや楽天が社内公用語を英語とし、吉野家、サンリオ、ファミリーマート、サマンサタバサ・ジャパン・リミテッドと、日本を代表する消費財企業が世界シェア−を目指してどんどん海外進出しています。

 グローバル経済がますます進む中、私たちビジネスマンは、欧米のビッグビジネスと北米、欧州、アジア、アフリカと、世界のあちこちでガチンコ対決を強いられるわけです。

 欧米のビッグビジネス ( 大企業 ) では、経営陣の3人に1人くらいの割合で、MBA ( Master of Business Administration : 経営学修士 ) を取得し、それをキャリアパスに使っています。

 ところが私たちが欧米の経営大学院に2年留学しようとすると、学費、生活費あわせて2000万円も貯金しなくてはならず、狭き門です。ヒデキも昔は憧れていましたが、あきらめました。

 このコーナーでは、学位こそ取れないものの、知識だけは欧米のビッグビジネスの経営陣と対等なレベルに立てる ” 新しい社会のインフラ ” を創っていきます。 

 ファイナンス (14) 貸借対照表のミクロ構造

 正常営業循環の外にある資産・負債は、1年以内に現金化されるかどうかで判断される。これをワン・イヤー・ルール ( 1年基準 ) という。

 たとえば、お金の貸し借りをした場合、1年以内に返済する契約になっていれば、貸した方は短期貸付金という科目で流動資産に計上し、借りた方は短期借入金という科目で流動負債に計上する。

 逆に、1年を超えて返済することになっているならば、貸した方は長期貸付金という科目で固定資産に計上し、借りた方は長期借入金という科目で固定負債に計上する。

 「 短期 」 とは 「 1年以内 」、 「 長期 」 とは 「 1年超 」 を意味する会計用語である。

 さらに資産のうち、株式などの有価証券の流動・固定の分類基準には所有目的による判断が加味される。

 すなわち、1年以内に満期が来る社債等に加えて、売買して利ザヤを稼ぐことを目的として保有している有価証券 ( 売買目的有価証券 ) も流動資産に計上され、それ以外の関係会社株式 ( 支配目的 ) や市場性のない株式は固定資産の投資その他の資産に計上される。

 この分類基準を所有目的基準という。

 所有目的基準は、有価証券の性質に則して 「 換金性 」 を考慮した結果であるが、この基準にはいささか問題がある。所有目的は企業の主観によって決まるからである。

 つまり、意図的な所有目的の変更がなされることがあり得る。所有目的によって有価証券自体の計上箇所が変わるだけではなく、評価損益や売却損益の処理方法や計上箇所も変わってくるので、企業による会計操作の余地を残すことになる。

  固定資産 

 正常営業循環基準、ワン・イヤー・ルール、及び所有目的基準の観点から流動資産にならないものが固定資産になる。固定資産はさらに有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産に分けられる。

 有形固定資産は、物理的な形を持った固定資産である。具体的には、建物、機械設備、車両、土地などである。

 無形固定資産は、物理的な形を持たない固定資産である。知的所有権や営業権 ( 会計上の資産価額より高い価格で買収した場合等の差額分 ) などが代表的であるが、2000年3月の決算からはソフトウェアの一部も無形固定資産に計上されることになった。

 投資その他の資産は、主に企業に対する投資に関連した科目が計上される。具体的には、子会社や関連会社などのように利ザヤを稼ぐ目的よりも支配目的で取得する株式などがここに計上される。

 固定負債

 固定負債はシンプルで、長期的な借入に関する科目が計上される。その代表は長期借入金と社債である。

 社債も、その本質は借金である。例えば5年という償還期間が決まっており、償還期限が来たら元本を返済しなければならない。

 銀行などからの融資による借入金と異なるのは、社債券という有価証券を使って借入金を細分化し、不特定多数の投資家に発行して、多額の資金を長期にわたって調達することを予定している点である。

 繰延資産 

 繰延資産とは、本来費用としてP/L に計上されるものをB/Sの資産に計上し、償却というプロセスにより数年にわたって少しずつ費用化するものである。

 B/Sに繰延計上するために繰延資産という。理屈としては、次の要件を満たすものが繰延資産として計上していいことになっている。

 ● 代価の支払いが完了している。または、支払義務が確定している
 ● これに対応する役務 ( サービス ) の提供を受けている。
 ● その効果が将来にわたって及ぶ

 最初の2つの要件だけ見れば、普通は費用である。ポイントは3番目の要件で、支出した効果がその年だけで終わるのではなく、将来の複数年にわたるという点である。これを根拠に、資産に計上することになっている。

 理屈は上記の通りであるが、本音のところは企業の費用負担を考えた政策的な面が強い。つまり、一気に会計上の費用としてしまうと、会社の費用負担が大きくなってしまうので、いったんB/S上に計上して、少しずつ費用化するわけである。

 これを逆手に使えば、費用を不当に圧縮することによって利益操作できてしまう。そこで、会社法では繰延資産を次の項目に限定している。

 − 創立費
 − 開業費 
 − 開発費
 − 株式交付費
 − 社債発行費等

  資本 

 資本の部は以下のように分類される

 ● 資本金 ( Capital )
 ● 資本準備金 ( additional paid-in capital )
 ● 利益準備金 ( legal reserve )
 ● その他の準備金 ( retained earnings )

それぞれ順に見ていこう。

 外部拠出 vs.  内部留保

 資本とは返済不要の資金調達源であるが、返済不要には2通りのケースがある。一つは外部から拠出された資金でありながら返済しなくていいケース。もう一つは、企業自ら蓄積した資金で、もともと自分のものであるケースである。

 資本の部では、この2つのケースが峻別できるようになっている。前者の返済不要の外部拠出部分、すわなち株主から拠出された部分が資本金と資本準備金であり、後者の企業自ら蓄積した部分、すなわち利益の内部留保が利益準備金とその他の準備金である。

 資本金と資本準備金は、株主からの新たな資金の拠出がない限り増えることはないが、内部留保部分は企業のビジネスの発展とともに膨らんでいく。

    ( つづく )  

【 僕のハーバードMBA留学記 金融資本主義を越えて 岩瀬大輔 】



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2012年04月01日

MBAの知識 Learning MBA Basics (2)

 連載シリーズ ”MBAの知識” は現在、”ベーシックス” と ”ファイナンス” を並行しておりますが、輸入したテキストを使って3つ目の英語コースを始めます。

 留学する時間やおカネが無くても、無料のブログからMBAを学べる、”新しい社会のインフラ ” を作っていきます。経営学修士とビジネス英語の両方を学べるでしょう。

 英語の後に日本語訳が続きます。

 (2) Introduction of MBA

 Here is the approach I take in this course.

Part 1, Managing People, show you ways of getting things done through other people. It also covers leadership and shows you how it differs from management, and explains how to manage change in an organization.

ここで私がこのコースを提供するアプローチ方法を紹介します。

 まず第一に “ 人の管理 ” では、人を動かすことによって仕事をなしとげる方法を学びます。また、リーダーシップについても述べ、それが管理とどう違うか、組織での変革の方法も学びます。

 Part 2, Making Decisions About Resources and Operations, covers the workings of both economics and operations, along with the principles that determine how a country or a company wins or loses the money game.

In this part, you learn about the business cycle of recession and recovery, methods of quality improvement, and decision-making techniques that will help you succeed in any environment.

第二に、 “ リソースとオペレーションの意思決定 ” では、マネーゲームでの国家や企業の勝ち負けを決定づける基本原理を解明しながら、経済とオペレーションのしくみについて触れます。

 ここでは、好況と不況の循環や、品質改善の方法や意思決定の技術など、あなたがどんな立場にいようと役立つ知識を学びます。

 Part 3, Managing Money, Accounting and Finance, takes you into the world of accounting systems and financial statements.

 Here you learn how a company keeps track of sales, expenses, and profits, and how it makes budgeting and investment decisions. This part also examines the financial markets and the major securities bought and sold on those markets.

第3に、 “ マネー、会計と財務 ” では、会計と財務諸表の世界にご案内します。

 企業がいかに売上や経費や利益の管理をし、予算や投資の意思決定をするかを学びます。ここでは金融市場と、そこで売買される有価証券類についても見てみましょう。

 Part 4, Managing Marketing for Maximum Sales, shows how companies learn about their customers’ needs, develop products and services to meet those needs, and use marketing strategy to focus on the customer and outsell the competition.

The Internet has transformed marketing and advertising, and this part of the book shows how to deal with that.

第4に、 “ 売上げを最大化するマーケティング ” では、企業がどうやって顧客のニーズを知り、それに合う商品とサービスを開発し、顧客に焦点を置いた販売競争に打ち勝つためのマーケティング戦略を学びます。

 インターネットはマーケティングと広告のあり方を変転させ、この章ではそれをどう活用させるかを学びます。

  
 Part 5, Steering the Business into the Future, deals with strategic planning, which is the major tool for managing longer-term aspects of the business.

One key long-term challenge is sound risk management, because without it there is no long term. That is also true of sustainable business practices, which are necessary for the survival of not only the business, but the planet as well.

This part also covers managers’ legal and ethical responsibilities, and explores entrepreneurship and how to write a business plan.

第5に “ ビジネスを未来に進める ” ではビジネスの未来を管理する主な手法である戦略立案に触れます。

 長期にわたる挑戦で一つのカギとなるのが健全なリスク管理です。なぜなら、これなしには “ 長期 ” などあり得ないからです。持続性のあるビジネスの実践にとってそれは真実で、ビジネスだけでなく地球の生存にとっても必要なことです。

 この章はまたマネージャーの法的、倫理的な責任についても触れ、起業家精神やビジネスプランの書き方も探ります。
 
   ( つづく )

 ( 訳: ヒデキ、 引用: MBA Basics THIRD EDITION )





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2012年03月26日

MBAの知識 − ベーシックス (61) 人員配置計画

 【 この連載は下記のカテゴリー欄より通してご覧になれます 】

 ベーシックス (61) 人員配置計画 ( Human Resource Planning )

人員配置計画とは必要なスキルを持った人材がどれくらい必要かを明確にするプロセスのことである。
 @ 職務分析、職務分掌を把握したのちに、 A 資格要件を明確にし、 B 適材適所に人材配置ができる仕組みをつくることが重要である。

 【 人員配置計画 】

 人員配置計画は、事業が成長して人員不足に陥る場合や、既存の要員では競争力が維持できないときなどに作成、見直しを行う。成長期においては、事業の伸びを見込み、その結果どれだけ人員不足になるかを予測する。

 仮に、予測を多少間違ったとしても、基本的には繁栄の下での問題であり、労働生産性向上に向けて対応策を検討するなど、前向きの検討によってその間違いを補うことができる。

 しかし成熟期や衰退期では、業務フローそのものを見直すために、職務分析を行い、職務分掌 (
業務の区分・責任表 ) を作成し、人材を有効に活用できるシステムを立案する必要が高まる。

 【 職務分析と職務分掌 】

 職務分析はある業務の遂行に必要な任務と責任、他の職務との関係、知識や熟練度、それに職場環境の要旨を把握するためのものであり、どんな課題を、いつまでに、どこで、どのような方法で、なぜ達成しようとするのか、また、その業務を遂行するための要件は何かといった問いに答えるものでなければならない。

 会社の戦略を実現させていくために必要な職務の分析があってはじめて、要員管理も採用も教育の必要性も認識されるのであり、職位に対する期待への貢献度も明確になるのである。

 職務分掌は職務分析を活用して、組織、職位が戦略実現のために果たすべき権限と役割を明確化したもので、組織としての目標達成、個人の業務評価など、組織・人のマネジメントの基本となる。

 一般的に職務分掌に記載される項目は次のとおりである。

 @ 業務定義 ( タイトル、部署名、業務報告ルートなど)

 A 業務内容の要約

 B 業務目標 ( 最低限達成レベル、個々の業務目標に関する優先順位および時間の割り振りなど )
 
 C その他 ( 労働条件、要員、使用できる機械備品など )。

 職務分掌がはっきりすると、ある業務の担当となるための学歴、経験、知識、パーソナリティ、具体的な能力などの資格要件も明確になる。

 日本企業の多くは厳密な職務分析を行っておらず、はっきりした職務分掌も定めていない。あいまいさがフレキシビリティを生み、柔軟な業務遂行を可能にしてきたともいえるが、方向の定まらない変化の時代にも有効であろうか?

 【 採用と人事情報 】

 人員配置計画が決まると、人材の余剰ないし不足があきらかになる。人材に余剰感があるときの選択肢は、採用の抑制、残業規制、早期退職、レイオフなどである。

 不足の場合は採用によって対応するが、新卒を採用して教育するか、中途採用で対応するかという選択をすることになる。

 その際、マネジメントおよびスキルの棚卸しと呼ばれる内部人材の質の正確な把握が必要である。

 @ 経歴や経験、学歴

 A 社内人材の特徴分析  ( 特別なスキルや知識、資格・免許、社内外教育の受講歴なども含む )

 B 現在の業務遂行度評価

 C 能力伸長の可能性 

 D 専門分野

 E 業務内容や地域に対する社員の選好度 

 F キャリアゴールや将来への期待度、などのデータが不可欠である。

 また、企業の組織文化を形成し維持するためには、採用しようとする者に対して厳しい文化的コントロールをかけることも重要になる。

 一例として、アメリカ、オハイオ州にあるホンダの工場では、一定の職務に応募するブルーカラー労働者に対して、自分の人生目標とホンダでの就職が、その大目的とどう合致するかについて書く小論文を課していた。

 このようにして、採用時に収集した人事データを日々アップデートしていくことで、社内の人材の質や数を知ることができる。これは、人事情報システムの一環として、将来の人員配置の予測や計画立案のための有効なツールとして活用できる。

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

  職務と人材のデータ

 ≪ 職務分掌 ≫

 (1) 短期・特定職務 

 (2) 短期・職務分野

 (3) 長期・特定職務

 (4) 長期・職務分野

 ≪ 資格要件 ≫

  ― 求められる知識、スキル、姿勢、経験

    ↑ ↑
    一致
    ↓ ↓

 ≪ キャリア計画 ≫

 人材特性 − 現時点の知識、スキル、姿勢、経験、

      − 現時点で把握している能力

    ( 引用 : グロービス MBAマネジメントブック ) 
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2012年03月04日

MBAの知識 − ファイナンス ( 14 ) 貸借対照表のミクロ構造 

 【 連載記事はカテゴリー欄より通してご覧になれます 】

 流動資産 (2)

 正常営業循環の外にある資産・負債は、1年以内に現金化されるかどうかで判断される。これをワン・イヤー・ルール ( 一年基準 ) という。たとえば、お金の貸し借りをした場合、1年以内に返済する契約になっていれば、貸した方は短期貸付金という科目で流動資産に計上し、借りた方は短期借入金という科目で固定負債に計上する。

 逆に、1年を超えて返済することになっているならば、貸した方は長期貸付金という科目で固定資産に計上し、借りた方は長期借入金という科目で固定負債に計上する。

 「 短期 」 とは 「 1年以内 」、 「 長期 」 とは 「 1年超 」 を意味する会計用語である。さらに資産のうち、株式などの有価証券の流動・固定の分類基準には所有目的による判断が加味される。

 すなわち、1年以内に満期が来る社債等に加えて、売買して利ザヤを稼ぐことを目的として保有している有価証券 ( 売買目的有価証券 ) も流動資産に計上され、それ以外の関係会社株式 ( 支配目的 ) や市場性のない株式は固定資産の投資その他の資産に計上される。この分類基準を所有目的基準という。

 所有目的基準は、有価証券の性質に則して 「 換金性 」 を考慮した結果であるが、この基準にはいささか問題がある。所有目的は企業の主観によって決まるからである。つまり、意図的な所有目的の変更がなされることがあり得る。

 所有目的によって有価証券自体の計上箇所が変わるだけでなく、評価損益や売却損益の処理方法や計上箇所も変わってくるので、企業による会計操作の余地を残すことになる。

  固定資産

 正常営業循環基準、ワン・イヤー・ルール、及び所有目的基準の観点から流動資産にならないものが固定資産になる。固定資産はさらに有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産に分けられる。

 有形固定資産は、物理的な形を持った固定資産である。具体的には、建物、機械設備、車両、土地などである。

 無形固定資産は、物理的な形をもたない固定資産である。知的所有権や営業権 ( 会計上の資産価額より高い価格で買収した場合等の差額分 ) などが代表的であるが、2000年3月の決算からはソフトウェアの一部も無形固定資産に計上されることになった。

 投資その他の資産は、主に企業に対する投資に関連した科目が計上される。具体的には、子会社や関連会社などのように利ざやを稼ぐ目的よりも支配目的で取得する株式などがここに計上される。
 
 固定負債 

 固定負債はシンプルで、長期的な借入に関する科目が計上される。その代表は長期借入金と社債である。
 社債も、その本質は借金である。たとえば5年という償還期限が決まっており、償還期限が来たら元本を返済しなければならない。

 銀行などからの融資による借入金と異なるのは、社債券という有価証券を使って借入額を細分化し、不特定多数の投資家に発行して、多額の資金を長期にわたって調達することを予定している点である。

 繰延資産

         繰延資産とは、本来費用としてP/L ( 損益計算書 ) に計上されるものを B/S ( 貸借対照表 ) の資産に計上し、償却というプロセスにより数年にわたって少しずつ費用化するものである。B/S に繰延計上するために繰延資産という。

 理屈としては、次の要件を満たすものが繰延資産として計上していいことになっている。

 ● 代価の支払が完了している。または、支払義務が確定している。
 ● これに対応する役務 ( サービス ) の提供を受けている。
 ● その効果が将来にわたって及ぶ

 最初の2つの要件だけ見れば、普通は費用である。ポイントは3番目の要件で、支出した効果がその年だけで終わるのではなく、将来の複数年にわたるという点である。これを根拠に、資産に計上することになっている。

 理由は上記のとおりであるが、本音のところは企業の費用負担を考えた政策的な面が強い。つまり、一気に会計上の費用としてしまうと、会社の費用負担が大きくなってしまうので、いったん B/Sに計上して、少しずつ費用化するのである。

 これを逆手に使えば、費用を不当に圧縮することによって利益操作ができてしまう。そこで、会社法は繰延資産を以下の8項目に限定するとともに、償却期間も3年ないし5年以内と定めており、比較的短期間に費用化して資産から姿を消すようにしている。

 以下の一覧表を見ればわかるように、繰延資産の要件とは裏腹に、かなり政策的なものであることがわかるだろう。

 創立費 − 会社を設立するために必要な支出額。定款や諸規定作成のための費用、株式申込書の印刷費など。 − 償却期間 : 5年以内

 開業費 − 会社設立後、営業開始までの開業準備のための支出額。建物等の賃借料 、広告宣伝費、使用人の給料、光熱費など。  − 償却期間 : 5年以内

 開発費 − 新技術または新経営組織の採用、新資源の開発、新市場の開拓等のため支出した費用。経常的性格のものは除かれる。 − 償却期間 : 5年以内

 試験研究費 − 新製品または新技術開発のために行う試験研究のため、特別に支出した費用。 − 償却期間 : 5年以内

 新株発行費 − 新たに株式を発行する場合に直接支出した費用。株式募集のための広告費、金融機関の取扱い手数料など。 − 償却期間 : 3年以内

 社債発行費 − 社債を発行するために直接支出した費用。募集のための広告費、金融機関の取扱い手数料など。 − 償却期間 : 3年以内

 社債発行差金 − 社債を券面額と異なる価額で発行した場合の券面額と発行価額の差額。 − 償却期間 : 社債の償還期限内

 建設利息 − 会社の事業の性質により、会社設立後2年以上営業の全部を開業できない場合に認められる、開業前の株主に対する金銭の支払い額。 − 償却期間 : 資本総額の100分の6を超える利益配当をするごとに、その超過額のと同額以上。

 なお、上記のうち、試験研究費と開業費の一部は、1999年4月以降は資産計上が認められず、一括して費用処理することになっている。

 法人税制では、商法上の8つの繰延資産はもとより、支出の効果が1年以上に及ぶ費用は、およそ網羅的に繰延資産としている。これは、税制の基本精神が、費用をなるべく少なくして税収を多くすることにあることの現れである。

 税法的には、多くの費用を一括計上されては困るため、必要以上に費用を繰り延べて計上させるのである。

 法人税法固有の繰延資産には以下のようなものがある。

 < 繰延資産 >           < 例 >

 ● 自己が便益を受ける公共的施設または共同的施設の設置または改良のために支出する費用 
   − アーケード、すずらん灯、アーチ

 ● 資産を賃借しまたは使用するために支出する権利金、立退料、その他の費用
   − 借家権利金、電子計算機の賃借

 ● 役務の提供を受けるために支出する権利金、その他の費用 
    − ノウハウの頭金

 ● 製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用
    − 看板、ネオンサイン、どん帳、陳列棚

 ● その他自己が便益を受けるために支出する費用 
    − スキー場のゲレンデ整備費、出版権の設定対価、業界団体などの加入金

 これらは法人税法上は繰延資産であっても、会社法上は繰延資産としては認められないため、長期前払費用などに計上される。
 
               ( つづく )   

【 僕のハーバードMBA留学記 金融資本主義を越えて 岩瀬大輔 】





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2012年02月27日

MBAの知識 Learning MBA Basics

 ”MBAの知識” は現在、”ベーシックス” と ”ファイナンス” を並行しておりますが、輸入したテキストを使って3つ目の英語コースも始めます。

 留学している時間やおカネが無くても、無料のブログからMBAを学べる、”新しい社会のインフラ ” を作っていきます。経営学とビジネス英語を両方同時に習得できるでしょう。

 (1) Introduction of MBA

M-B-A, these three letters spell success in business, and for good reason. In reality, just having a Master of Business Administration degree doesn't make anyone a master of Business Administration.

エム、ビー、エー、この3文字の言葉は、ビジネスの世界での成功を意味するが、それにはもっともな理由がある。実際のところ、マスター・オブ・ビジネス・アドミニストレーション ( 経営学修士 ) を取っただけでは、だれ一人として経営管理のプロになれることはない。

That takes a years of On-The-Job experience. But the course of study that leads to an MBA prepares you extremely well for a business career by giving you several things that ( until now ) have been hard to get elsewhere.

プロになるには長い年月にわたる実務経験が必要なのだ。しかし、(これまでは) 他ではなかなか得られることのなかった幾つかのMBAの知識を得ることで、皆さんのビジネスキャリアにとって大変良い備えになるだろう。

 First, an MBA teaches you the key principles of how to manage a business. A business can be managed either by the " seat of the pants " or professionally, and business school teaches you the professional way.

第一に、MBAはどうやってビジネスを経営するかという基本原理を教えてくれる。ビジネスは ”経験則に基づいて ( seat of the pants ) ” か、専門的な経営のどちらかで経営されるが、ビジネス・スクールは専門的な経営の方法を教えるのだ。

 Professional management calls for setting goals that motivate people, allocating resources to activities that move the company toward those goals, monitoring progress, and making any necessary adjustments.

These principles, and others taught in an MBA program, usually lead to success.

専門的な経営は、人をヤル気にさせるゴール設定を求め、会社を目標地点に導くために経営資源を割り当て、進捗を監視し、必要な調整を行う。

 MBAプログラムで教えられるこれら基本原理とその他により、ビジネスで成功する確率は高まると言ってよい。

 Second, an MBA gives you exposure ( at least, classroom exposure ) to the departments - the functions - that you will find in most business. These include management and operations, finance and accounting, and sales and marketing.

You learn about the roles these functions play in a business and how to get these areas to work together. All of this prepares you to deal effectively with the various people working in a company.

第2に、MBAによってあなたは、たいていの会社にある部門 (機能) に接することになる ( 少なくとも教室の中で接する)。その中には、経営管理、業務、ファイナンス、経理、営業やマーケティングも含まれる。

 これらはすべて、会社の中で働いているさまざまな人たちと上手に付き合うための訓練になるだろう。

 Third, an MBA program gives you sophisticated ways of approaching business problems.

It gives you methods, which often involve simple calculations or diagrams, to enable you to clearly see tha parts of the problem, develop potential solutions, choose the best course of action, and present your case to others in a winning way.

第3に、MBAプログラムは、さまざまなビジネス上の問題に接する洗練された方法を授けるだろう。

 時に、簡単な計算や図式が含まれるが、問題点をはっきりさせ、可能な解決策を検討して最善策を選び取る方法である。

 Finally, MBAs know the language of business. Like any profession, business has its own lingo and jargon.

 Some MBAs seem to get a kick out of throwing around these words for the heck of it ( or to confuse the uninitiated ), but most management, financial, and marketing terms do refer to important business concepts.

If you understand the words, you understand the concepts. IF you understand the concepts, you can apply them in your business.

最後に、MBA保持者たちは、ビジネス用語を知っている。他の職業と同じように、ビジネスにも専門用語や特別な言い回しがある。

 ときどき、MBA保持者たちは面白半分に、 ( あるいは素人をからかうために ) 専門用語を乱発することがあるが、事実、多くの経営管理や財務、マーケティングの専門用語が重要なビジネス・コンセプトに言及しているのだ。

 専門用語を理解することが、コンセプトを理解することであり、コンセプトを理解することによって、ビジネスに取り入れることができるのである。 

  ( つづく ) 

 
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2012年02月10日

MBAの知識 − ファイナンス (13) 貸借対照表のミクロ構造

ユニクロや楽天が社内公用語を英語とし、吉野家、サンリオ、ファミリーマート、サマンサタバサ・ジャパン・リミテッドと、日本を代表する消費財企業が世界シェア−を目指してどんどん海外進出しています。

 グローバル経済がますます進む中、私たちビジネスマンは、欧米のビッグビジネスと北米、欧州、アジア、アフリカと、世界のあちこちでガチンコ対決を強いられるわけです。

 欧米のビッグビジネス ( 大企業 ) では、経営陣の3人に1人くらいの割合で、MBA ( Master of Business Administration : 経営学修士 ) を取得し、それをキャリアパスに使っています。

 ところが私たちが欧米の経営大学院に2年留学しようとすると、学費、生活費あわせて2000万円も貯金しなくてはならず、狭き門です。ヒデキも昔は憧れていましたが、あきらめました。

 このコーナーでは、学位こそ取れないものの、知識だけは欧米のビッグビジネスの経営陣と対等なレベルに立てる ” 新しい社会のインフラ ” を創っていきます。 

 ファイナンス (13) 貸借対照表のミクロ構造

 原理・原則の説明が一通り終わったので、次に財務諸表の構造をミクロに見ていくことにしよう。まずは貸借対照表から見ていくことにする。

 貸借対照表のマクロ構造は、借方 ( 左側 ) に資産、貸方 ( 右側 ) に負債と資本という構造であった。

 貸借対照表はこのように右と左に分かれるが、さらに縦方向にも一定の構造を持っている。

 この構造が分かれば貸借対照表が読めるようになる。

 常に左右がバランスする

 貸借対照表は、おおむね下記の図のようになっている。借方の合計額と貸方の合計額が必ず一致するので 「 貸借 」 「 対照 」 表という。

 左右がバランスしているので、英語ではバランス・シートというわけである。

 なぜ貸借がバランスするかというと、バランスするように作ってあるからだ。以前説明したように、会社は取引を常に原因と結果の2面から捉えるようになっている。

 例えば、資産 ( 借方 ) である現金の増加の原因が銀行からの短期融資にあるなら、負債 ( 貸方 ) の短期借入金も増加する。

 この場合は左右が同額だけ増加するのでバランスが保たれる。また、所有していた株を売却した場合は、資産である有価証券が減少すると同時に、その対価である現金が増加する。

 このように、貸借対照表のある項目の増減の理由は必ず財務諸表のどこかにあるように作られている。

 もし貸借が合わない ( バランスしない ) としたら、それはどこかにミスがあるサインである。

 左右を常にバランスさせるという仕組みによって、ミスが発見できる機能がビルト・インされているのである。

  貸借対照表の構造 

 −−  資金運用方法 −−

  資産の部
 T 流動資産
 現金預金 XXX
 受取手形 XXX
 売掛金  XXX
 有価証券 XXX
 棚卸資産 XXX
 短期貸付金 XXX
 貸倒引当金 △ XXX
      ----
 流動資産合計  XXX

U 固定資産
 1. 有形固定資産
  建物  XXX
  機械装置 XXX
  土地  XXX
  建設仮勘定 XXX
     -----
   有形固定資産合計 XXX

 2. 無形固定資産
  営業権  XXX
  特許権  XXX
     ----
   無形固定資産合計 XXX

 3. 投資その他の資産
  投資有価証券 XXX
  関係会社株式 XXX
  長期貸付金  XXX
  長期前払費用 XXX
  貸倒引当金  △ XXX
        --------
 投資その他の資産合計 XXX
        --------
 固定資産合計     XXX

 V 繰延資産

 創立費    XXX
 開業費    XXX
 新株発行費  XXX
 社債発行費  XXX
 社債発行差金 XXX
 開発費    XXX
 試験研究費  XXX
 建設利息   XXX
        -------
  繰延資産合計  XXX
 ___________
 資産合計    XXX

  資金調達合計 

 T 流動負債

 支払手形    XXX
 買掛金     XXX
 短期借入金   XXX
 賞与引当金   XXX
 その他     XXX
         -------
  流動負債    XXX

 U 固定負債

  社債     XXX
  長期借入金  XXX
  退職給与引当金 XXX
  その他    XXX
         -------
  固定負債合計 XXX
         -------
   負債合計  XXX
         --------

 資本の部

  T 資本金  XXX
U 資本準備金 XXX
  V 利益準備金 XXX
  W その他の準備金 XXX

   任意積立金  XXX
   当期未処分利益 XXX
          -----------
  その他の剰余金合計  XXX
            -------
  資本合計      XXX
  _____________
  負債・資本合計   XXX

   左右の関係 

 それでは、貸借対照表の構造を見ていこう。まず、左右の関係であるが、既に説明したように、右側 ( 貸方 ) は資金調達源泉を表し、左側 ( 借方 ) は資金運用状況を表している。

 貸方は、返済義務のある負債と返済義務のない資本から成っている。 返済義務に注目して、負債を他人資本、資本を自己資本ということもあることは既に説明したとおりである。

 上下の関係

 次に、上下の構造を見ていこう。貸借対照表では、原則的に、流動性 ( Liquidity ) の高い項目から順に並べることになっている。

 流動性とは換金性を意味する。つまり、すぐにキャッシュに換えられるものから順に書くわけである。

 これを流動性配列法という。このような順番に書く理由は、貸借対照表のもともとの目的が債務弁済能力の提示にあったからである。

 流動性配列法にしたがうと、資産は流動資産 ( Current Assets )  と固定資産 ( Fixed Assets ) に分けられ、負債は流動負債 ( Current Liability ) と固定負債 ( Long- Term Liability )  に分けられる。

 さらに、少々特殊な資産として、繰延資産 ( Deffered Asset )  がある。

 流動資産、流動負債

 流動性とは換金性だという説明をした。しかし、何をもって 「 換金性が高い 」 と判断し、どの資産・負債が流動資産・負債に相当するかというのは以外と単純ではない。

 会計では、正常営業循環基準、ワン・イヤー・ルール、所有目的基準という3段階で判断する。

 最初の判断基準は、企業のメインとなるビジネス・サイクルの中で動いている資産・負債かどうかという点である。

 企業のメインとなるビジネス・サイクルとは、

 「 モノを仕入れる → 代金を支払う → モノを売る → 売る → 代金を回収する 」 というサイクルである。このメインのビジネス・サイクルを正常営業循環という。

 このサイクルの中で動いている資産・負債はすべて流動資産に計上される。これを正常営業循環基準という。具体的には、現金 ( Cash )、売上債権 ( Account receivable )、仕入債務 ( Accounts payable )、棚卸資産 ( 在庫 ) ( Inventory ) などがこの基準により流動資産に分類される。

 正常営業循環 

 現金 → 仕入債務 ( 仕入れる ) → モノ ( 棚卸資産 ) → 売上債権 ( 売る ) →
 
 現金へ 

    ( つづく )  

【 僕のハーバードMBA留学記 金融資本主義を越えて 岩瀬大輔 】


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2012年01月28日

MBAの知識 − ファイナンス  (12)

ユニクロや楽天が社内公用語を英語とし、吉野家、サンリオ、ファミリーマート、サマンサタバサ・ジャパン・リミテッドと、日本を代表する消費財企業が世界のシェア−を目指してどんどん海外進出しています。

 グローバル経済がますます進む中、私たちビジネスマンは、欧米のビッグビジネスと北米、欧州、アジア、アフリカと、世界のあちこちでガチンコ対決を強いられるわけです。

 欧米のビッグビジネス ( 大企業 ) では、経営陣の3人に1人くらいの割合で、MBA ( Master of Business Administration : 経営学修士 ) を取得し、それをキャリアパスに使っています。

 ところが私たちが欧米の経営大学院に2年留学しようとすると、学費、生活費あわせて2000万円も貯金しなくてはならず、狭き門です。ヒデキも昔は憧れていましたが、あきらめました。

 このコーナーでは、学位こそ取れないものの、知識だけは欧米のビッグビジネスの経営陣と対等なレベルに立てる ” 新しい社会のインフラ ” を創っていきます。 

 ファイナンス (12) 発生主義、費用収益対応原則の意義

損益計算書に関連する原則をまとめると、以下のようになる。

 《 収益・費用ともに 》

 ◎ 発生主義 − 収益・費用は、現金収支だけではなく、その発生の事実に基づき、認識 ( 計上 ) する。

 《 収益 》

 ◎ 実現主義

 収益の認識は、

 1. 外部の第三者への財または用役の提供

 2. 現金または現金同等物の受領の2要件が満たされたときに認識 ( 計上 ) する。
 ( 注: 実務上は、出荷基準や検収基準による )

 《 費用 》

 ◎ 費用収益対応原則

 費用は、収益獲得と対応付けて認識 ( 計上 )。

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

 これらの原則、特に発生主義と費用収益対応原則は、期間損益の計算、すなわち

「 会計期間毎に見て儲かったかどうかが分かるように収益を計算する 」 という損益計算書の使命を果たすための仕組みと言える。

 もし、キャッシュフローのとおりに収益と費用を計上していたら、会計期間を越えて投資単位ごとに 「 ヨコ 」 に見せなければ儲かったのかどうか分からない。

 しかし、企業は大小取り混ぜた複数の投資プロジェクトの集合体であり、企業の中では複数の投資プロジェクトがさまざまなタイミングで同時進行的に進行している。

 また、ゴーイング・コンサーンの前提の下では、ヨコに見るといってもどこで切っていいか分からない。

 そうなると、個々の投資プロジェクトをヨコに見て判断するということはなかなか難しい。

 そこで、企業の成績を 「 タテ 」 に見て、それぞれの会計期間ごとに儲ったかどうかを判断するのである。

 個々の会計期間ごとにタテに見て判断がつくようにするためにはそれぞれの会計期間で平準化する必要がある。

 発生主義と費用収益対応原則はそのための仕組みなのである。

 貸借対照表の原則 − 取得原価主義 

 貸借対照表関連の原則で重要なのは取得原価主義 ( historical cost basis ) である ( 単に、原価主義とも言う )。

 取得原価主義は貸借対照表への計上額に対する原則で、具体的には以下の2要件から成る。

 1. 貸借対照表へは、取得時の支出額に基づき計上

 2. 保有中は、時価の変動があっても評価替えしない。

 つまり、一度取得時の価額で計上したら、ずっとそのままということである。

 それでは、具体的に取得原価はどのように計算するのだろうか。

 取得原価の計算は有価証券 ( securities )、棚卸資産 ( inventory ) 、固定資産 ( fixed asset )  などの貸借対照表計上額を決定する際に必要になるが、共通する基本的な考え方は、 「 取得原価はその資産を使えるようにするまでにかかった支出 」 ということである。

 具体的には以下のように計算する。

 取得原価 = 購入代価 + 付随費用

 この式からも分かるように、取得原価は単に購入代価ではなく、購入後に実際に使える状態になるまでにかかった付随費用も含むということである。

 付随費用とは、購入の際にかかった手数料や、運搬費、据付費のことである。

 取得原価主義 Vs. 時価主義 

 取得原価主義とは反対に、貸借対照表の計上額を時価に合わせて評価替えしていくという考え方もある。この考え方を時価主義 ( current cost basis )  と言う。

 今は時価会計の波が急速に押し寄せてきているが、実は取得原価主義なのか時価主義なのかということについては、長い間論争があった。

 取得原価主義と時価主義は、価格の客観性、資金的裏付け、情報のタイムリーさ、利益操作の排除という4つの視点で比較できる。

 第一に、価額の客観性であるが、時価主義の場合、何を持って時価とするかというところからして困ってしまう。

 例えば、上場されている株式のように、市場での流通価額が時々刻々公になっているものはそれを使えばいいが、建物や土地、さらには現在使っている製造設備の時価と言われると、明確に 「 これだ 」 という価額は決められない。

 結果として、価額付けに恣意性が入りがちになる。その点、取得原価主義は取得時に実際に支払った金額という客観的事実に基づいて計上するので、計上額の客観性が高い。

 さて、時価主義の場合、評価替えするということは、元の価額と新しい価額との差額である評価益または評価損を計上するということである。これらは原則的に、損益計算書の収益か費用に計上される。特に、評価益が出た場合を考えてみよう。

 例えば、100円で計上されていたある資産を120円に評価替えしたら、差額の20円が評価益として損益計算書に計上される。これは最終的には利益となるため、税金や配当としてキャッシュアウトすることになる。

 しかし、まだ資産を手放したわけではないので、評価益に対応するキャッシュが入ってきたわけではない。このように、キャッシュの裏付けがない収益がキャッシュアウトの原資になるというのでは、かえって企業の財務基盤を弱めることになる。これが2番目の資金的裏付けの問題である。

 資金的裏付けがないということは、言葉を変えれば収益がまだ実現していないということである。つまり、取得原価主義と実現主義は表裏一体の関係にあり、取得原価主義から逸脱することは実現主義からも逸脱することになってしまう。

 時価主義に反対の立場を取る論者の大きな根拠はこれである。

 第三の視点は、情報のタイムリーさである。取得原価主義では、100年前に取得した土地は100年前の価額のまま計上されている。これでは情報が全くタイムリーでなく、むしろ誤解を招く情報を提供することになってしまう。時価主義を支持する立場の論者の大きな根拠はここにある。

 最後は、利益操作の排除という視点である。土地や建物のように、そうそう頻繁に売買できないものはいいが、例えば株式などの有価証券を考えてみよう。

 取得原価主義では、有価証券も取得時の価額のまま計上されているため、時価との差額である含み損益があるはずである。

 上場している株式ならばいつでも売買できるので、この含み損益は企業の腹づもり一つでいつでも顕在化させたりさせなかったりということができてしまい、利益操作の温床を作ることになってしまう。

 これが時価主義だと、そもそも含み損益が強制的に顕在化させられるので、売っても売らなくても同じことになる。結果的に、利益操作の温床を排除することにつながる。

 以上のように、取得原価主義と時価主義は正に一長一短あるので、どちらかが決定的にいいとは言い切れない。

 国際的に見ると、保守的なドイツや日本 ( 日本の会社法や会計基準はもともとドイツの流れを汲んでいる ) は取得原価主義の立場を取り、タイムリーディスクロージャーを重視するアメリカは時価主義の立場を取ってきた。

 そして、世界全体が時価主義の方向に向かって行っているというのが現在の姿である。この流れは、タイムリーディスクロージャーを重視するようになってきたとも言えるし、グローバル化という名のアメリカ化が進んできたとも言える。

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

 まとめ 

 ≪ 一般原則 ≫

 1. 保守主義の法則 ● 企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。

            ● グッド・ニュースよりバッド・ニュースを積極開示しろということ。

 2. 継続性の原則  ● 会計処理が原則および手続きは毎期継続して適用し、正当な理由がある場合を除いて、みだりに変更してはならない。
 
            ● 絶対的に正しい会計処理はないので、一度決めた会計処理の継続適用は本質的な要請。

 ≪ 損益計算書の原則 ≫ 

 1. 発生主義   ● 会計上の収益と費用は、現金収支ではなく、その事実の発生に基づき計上する

           ● 信用経済における損益計算の大原則

 2. 実現主義   ● 収益計上は以下の2要件が満たされたときに限る 
             @ 商品・製品やサービスの企業外部の第三者への提供

             A その対価としての、現金または現金同等物の受け取り

 3. 費用収益対応原則 ● 費用は収益と対応づけて計上する

           ● 費用は収益獲得の犠牲概念であるので、単独では存在し得ない

 4. 貸借対照表の原則 ● 貸借対照表への計上額に関する原則。具体的には以下の2要件からなる。

              @ 貸借対照表へは、取得時の支出額に基づき計上

              A 保有中は、時価の変動があっても評価替えはしない

            ● 対立概念は時価主義 

  ( つづく ) 

 【 引用: 日経BP実践MBA3 MBA財務会計3 】
posted by ヒデキ at 18:51| Comment(0) | TrackBack(0) | MBAの知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月08日

MBAの知識 − ベーシックス (60)

 MBAの知識 − ベーシックス 戦略事業単位 ( Strategic Business Unit )

90年代から、企業はグローバル・エコノミーへの進展にあわせるため、大企業病 ( 官僚制 ) を打破し、意思決定のスピードを上げ、事業の “ 集中と選択 ” を行い、企業の中に小企業をいくつも設けるがごとく、事業部制、戦略事業単位を導入します。

 カンパニーと呼ぶところも多いです。

  一つの会社にCEO ( Chief Executive Officer ) は一人のはずなのに、事業部ごとに△△事業部CEOや、地域ごとに欧州CEO、アジアCEOと、社内に複数のCEOが存在するようになったのはその流れです。

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎  

 いくつかの事業部を戦略策定、遂行の観点から束ねた組織単位として、戦略事業単位 ( SBU ) がある。SBUの構成には、事業の戦略効果の観点からの高度な判断が求められる。

 【 戦略事業単位の意味 】 

 “ 組織形態 (1)ヒエラルキー型組織 ” で触れた事業部組織は、マネジメントの観点から業務を効率的に運営できる管理単位としての組織単位であった。しかし、必ずしも業務管理に適したくくりが、戦略を策定するうえでの単位に適しているとは限らない。

 業務上の管理は小さすぎても大きすぎても効率的にはできない。管理するための適度なサイズがあるだろう。

 一方、事業戦略は、必ずしも事業単位ごとに別々に策定することが効果的とは限らない。いくつかの事業部門を戦略的観点から束ねて、1つの戦略事業単位 ( SBU ) としてくくることが効果的である場合が多い。
 
 事業部門を解体しSBUに組み直すことは効率的ではないため、両方の強みを生かすべく重ね合わせる方法がとられる。したがって、SBUは企業組織図の上で、いくつかの階層に現れることになる。

 通常の管理組織がマネジメント機能の確率を目的にしているということができる。 
「 経営戦略 」 で使われるポートフォリオ分析は、もともとは事業部門単位ではなくSBU単位で検討することを前提に開発されたものである。

 【 戦略事業単位の構成基準 】

 それでは、SBUをどのように決定すべきなのだろうか。大前提は、共通の事業戦略をとることが効果的であるという点である。いくつかのポイントに整理しておく。

 まず、ビジネスのKFS ( 成功要因 ) が共通であり、それへの対応を共同して当たるべき場合が考えられる。

 たとえばある家電メーカーがエアコン事業部、冷蔵庫事業部、電子レンジ事業部、ミキサー事業部、VTR事業部を持っており、それらのKFSがユーザーのニーズ変化への迅速な新製品提供にあったとする。

 その場合、ユーザーおよび購買意思決定者が主婦と想定される冷蔵庫事業部と電子レンジ事業部とミキサー事業部を、キッチン家電SBUとしてくくることが効果的かもしれない。

 またSBUが事業戦略の遂行とその達成を目的とすることから考えれば、SBU独自の開発部門、製造部門、販売部門、企画部門を持つことが望ましい。しかし、現実的には効果よりも効率の観点から、それほど戦略的に重要でない機能部門を、複数SBU間で共有することが多い。

 【 分社化・カンパニー制度 】

 SBUの発展形として近年、商品群 ( 市場別 ) に 「 分社化 」 して、投資等の意思決定を含む大幅な権限移譲を行う企業が増えてきた。

 ソニーは、製品別に細分化されたこれまでの事業本部制をなくし、製品群ごとに3つのグループ・カンパニーと5つのディビジョン・カンパニーに 「 分社化 」 した。

 各カンパニーにはプレジデントを置き、ある一定レベルまでの投資の権限を委譲した。従来は19事業部門と8営業本部があり、その下に50以上の事業部があったが、カンパニー制では、各カンパニーの傘下に事業部を置いた。

 単に事業部を子会社化するものではなく、事業部を製品群 ( 市場 ) ごとに再編し、権限の委譲をはかり、あたかも子会社のごとく意思決定のできる組織を目指している。

 経営環境の変化への迅速な対応を目的として、大きな会社でありながら小さな会社のごとく迅速に意思決定する体制を目指す企業が、今後増えるであろう。

 ( 引用: 『 MBA マネジメント・ブック 』 )

安心安全☆食品宅配☆Oisix



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2011年12月27日

MBAの知識 − ファイナンス (11)

 ユニクロや楽天が社内公用語を英語とし、吉野家、サンリオ、ファミリーマート、サマンサタバサ・ジャパン・リミテッドと、日本を代表する消費財企業が世界のシェア−を目指してどんどん海外進出しています。

 グローバル経済がますます進む中、私たちビジネスマンは、欧米のビッグビジネスと北米、欧州、アジア、アフリカと、世界のあちこちでガチンコ対決を強いられるわけです。

 欧米のビッグビジネス ( 大企業 ) では、経営陣の3人に1人くらいの割合で、MBA ( Master of Business Administration : 経営学修士 ) を取得し、それをキャリアパスに使っています。

 ところが私たちが欧米の経営大学院に2年留学しようとすると、学費、生活費あわせて2000万円も貯金しなくてはならず、狭き門です。ヒデキも昔は憧れていましたが、あきらめました。

 このコーナーでは、学位こそ取れないものの、知識だけは欧米のビッグビジネスの経営陣と対等なレベルに立てる ” 新しい社会のインフラ ” を創っていきます。 

 ファイナンス (11) 会計の根底に流れる考え方

 まず、前回のおさらいから入ります。 

 ● 会計はゴーイング・コンサーン ( 永続企業 ) が大前提。1年という人為的な会計期間を設けて、会計期間ごとに企業の成績を評価するのが会計の基本コンセプト。

 ● 会計では、財産の増減計算をスナップショットとプロセスの2面で捉える。スナップショット ( 財産一覧表 ) を表すのが貸借対照表、プロセス ( 利益の内訳計算書 ) を表すのが損益計算書。

 ● 貸借対照表には、資産、負債、資本が収容されている。

 資産 = 将来におけるプラスの経済効果をもたらすもの。
    = 実物財産 + 債権

 負債 = 将来におけるマイナスの経済効果をもたらすもの。
    = 債務+債務以外の将来財産現象要因

 資本 = 資産−負債
    = 株主からの拠出資金+利益の蓄積

 ● 損益計算書には、収益、費用が収容され、両者の差額から利益が計算される。

 収益 = 財産の増加要因
 費用 = 財産の減少要因
 利益 = 収益 − 費用

 ● 会計の基本的メカニズムは、取引を原因と結果の2面で把握すること。すなわち、5つの要素から成る2つの表のどこかに原因と結果が必ず対になって記録される。

 ● 資産と費用は収益獲得のためにキャッシュ・アウトしている点では本質的に同じ。違いはキャッシュ・アウトが収益獲得に貢献する期間の長さ。収益獲得の効果が複数の会計期間にわたる場合は資産、同一の会計期間内でおさまる場合は費用というのが基本的考え

 ● 利益は株主のもの

 原理・原則 B 会計処理の根底に流れる考え方

 原理・原則の最後として、会計処理の根底に流れる考え方について見ていこう。

 表面的な現象を追い駆けまわしていては、膨大な量からなる会計を理解することはできないし、また会計のプロでない限り、細かいところを知る必要性もない。

 重要なのは、会計というルールがどういうコンセプトでできているかということを 「 理解 」 することである。そうすれば、各論については自ずとわかるようになってくる。

  6つの会計原則  

 会計の根底に流れている原理・原則にはいろいろあるが、一般原則として2つ、損益計算書に関する原則として3つ、貸借対照表に関する原則として1つ、合計6つの原則を理解しておけば、個々の会計処理が理解できる。

 一般原則 @ − 保守主義の原則

 会計理論上は一般原則は8つあるが、個々の会計処理を理解するためにはとりあえず次の保守主義の原則と継続性の原則の2つを知っていることが重要である。

まず保守主義の原則 ( principle of conservation ) ですが、これは、 「 企業の
財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。 」 という原則である。

 損益計算書で言えば、収益はできるだけ遅く、金額は少なく、費用はできるだけ早く金額は多く計上するように、貸借対照表で言えば、資産はできるだけ少なく、負債はできるだけ多く計上するということだ。

 要は、 “ グッドニュースよりバッドニュースを優先して教えろ ” ということである。この考え方は、会計の至るところに反映されている。

 一般原則 A − 継続性の原則

 もう一つの原則は、継続性の原則 ( principle of consistency ) である。これは、
「 会計処理の原則及び手続きは毎期継続して適用し、正当な理由がある場合を除いて、みだりに変更してはならない。 」 とする原則である。

 会計は、もともと 「 事実と慣習と判断の総合的産物 」 とも言われるように、唯一絶対的なものではなく、それだけに企業側にも会計処理の選択の幅がある。そして、合法的な範囲であれば、どの会計処理が絶対的に正しいと言い切れるものではない。

 そうなると、重要なことは一度決めた会計処理方法を毎期継続的に使い続けることである。そうすれば、恣意的な利益操作は防げるし、時系列での比較も可能となる。

 会計処理に幅がある現実においては、適正な会計処理を担保する上での本質的な原則と言える。

 90年代の前半、バブル崩壊のあおりを受けて、各企業が 「 益出し 」 のために減価償却方法を変更するということがはやった。

単純にいうと、減価償却期間である耐用年数を延ばせば、毎期の費用額は減るので、見かけ上の利益が出る。これなどは継続性の原則に抵触する典型的な例である。制度上は 「 正当な理由 」 があれば継続性の変更が適法に認められる。

 そこで、企業はもっともらしい正当な理由さがしに知恵を絞ったが、仮に正当な理由であったとしても、継続性の変更自体は開示対象になっているので、いずれにしても

目立つようになっている。

 損益計算書の原則 @ − 発生主義

 損益計算書に関する原則で、なんといっても重要なのは発生主義 ( accrual basis ) である。これが会計を会計らしくしているとともに、分かりにくくもしている。

 発生主義とは、
 “ 会計上の収益と費用は、現金収支ではなく、その事実の発生に基づき計上する 」 というものである。

 もう少し言うと、経済的価値を増加させる事実が発生したときに収益を計上し、経済的価値を減少させる事実が発生したときに費用を計上するという考え方である。

 要するに、飲み屋のツケといっしょである。

 本来、現金商売が基本の個人商店などでは、現金を受け取ったときに売り上げを計上し、現金を払ったときに費用を計上する。感覚的にはこれが自然だ。

 一方、ツケがきく飲み屋を考えてみよう。お客さんがさんざん飲み食いした後、 
「 ツケといて 」 ということになったら、その状態ではまだ現金は入ってきていない。

 しかし、飲み屋からすれば、飲み屋の商品なりサービスなりはすでに提供しており、その対価の請求権も有している。あとは現金が入ってくるのを待つだけである。

 それでも、入金がまだという理由で売り上げを計上しないと、 「 飲み屋としての商品・サービスを提供した 」 という事実も、どこにも記録されない。それではいくらなんでも経済的実態を表さないだろうというのが発生主義の考え方である。

 飲み屋のツケと全く同じことは、企業どうしの取引では日常的に行われている。製品を売ったりサービスを提供しても、相手の支払いはたとえば当月末締め、翌月末払いなどということも行われている。

 これだと、販売から入金まで最長で2か月、最短でも1か月のタイムラグがある。このような取引が成り立つのは、企業どうしお互いに相手の支払い能力を信用しているからである。

 そして、それぞれの企業がツケたりツケられたりという信用経済が現在の経済のベースになっている。

 逆に言えば、信用経済が高度に発達したため、現金収支に連動して収益と費用を計上していると、先ほどの飲み屋のツケのように、経済的実態を会計という記録に反映できないのである。

 損益計算書の原則 A − 実現主義

 なんでもかんでも事実の発生を元に計上していいかというと、そうもいかないのである。特に、収益は、安易に計上を許すと収益の水増し計上や架空計上につながるし、保守主義の観点から言っても収益の計上にはある程度慎重になるべきである。
 そこで、収益に限っては、次の2要件が満たされているときに
「 収益が実現した 」 と捉え、計上していくことになっている。これを実現主義
(  realization basis ) という。

 @ 商品・製品やサービスの企業外部の第三者への提供
 A その対価としての現金または現金同等物の受け取り

 @ は、 「 売ったことにしとこう 」 「 やったことにしとこう 」 というのはナシということである。

 よくあるのが、売ったことになっているが、いまだに自社の倉庫にその製品があるような 「 在庫売上 」 と言われるケースだ。このような場合は、自社倉庫にある合理的な根拠がない限り、@の要件は満たされていないことになる。

 A の現金同等物には、ツケに相当する代金請求権も含まれる。

 実務的には、製造業であれば倉庫から出荷したとき ( 出荷基準 )、電話会社や電力会社であれば請求権を発行したとき ( 請求基準 )、情報サービス業であれば納品先が検収したとき ( 検収基準 ) などが収益の実現地点、すなわち売上計上時点として使われる。

 損益計算書の原則 B − 費用収益対応原則

次に費用であるが、費用は費用収益対応原則にしたがって計上することになっている。費用収益対応原則とは、 「 費用は収益獲得と対応づけて計上する 」 という原則である。

 たとえば、商品を仕入れて販売するというシンプルなビジネスを考えてみよう。まず、商品を仕入れただけでは、それは費用にはならない。仕入れただけであれば、倉庫に積まれているだけなので、棚卸資産  ( 会社の資産としてカウントされている資産 ) として貸借対照表に計上される。

 このうち、実際に販売されてはじめて、その出荷された分が売上原価という費用として計上されるのである。

 一方、販売および一般管理費のようなものは、売上原価のように収益と明確な因果関係がない。そこで、 「 ある期間に発生した販売費および一般管理費は、同じ期間の収益に貢献したであろう 」 という考えに立って、その期に発生したものをすべてその期の費用とする。

 言ってみれば、期間を媒介に収益と間接的に対応付けるのである。

 費用収益対応原則の意味するところは、費用という概念はあくまでも収益獲得に払う犠牲であって、費用が単独で存在することはあり得ないということである。

 では、単独で発生する支出は何と言うか? それは損失という。

 ( つづく ) 





 【 引用: 日経BP実践MBA3 MBA財務会計3 】
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