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ゲーム理論・交渉術
ゲームに臨む各プレーヤーが第1に行うべきことは、そのゲームの本質的性格を見極めることだ。ゲームの性格は、プレーヤー間の意思決定のタイミング、利害の衝突度合い、プレーヤーの人数等によりさまざまに分類できるが、自分が直面するゲームがどの類型に属するかによって、おのずと戦略が異なってくる。
“意思決定によるタイミングによる分類”
一般にゲームは、プレーヤー間の意思決定のタイミングに着目すると、交互行動ゲーム ( sequential move game ) ろ同時進行ゲーム ( simultaneous move game ) の2種類に分類できる。交互行動ゲームはプレーヤーが交互に判断し行動するもので、将棋やマージャンはこれに当たる。
各プレーヤーは自分の番が来たら、ここでの自分の行動に対し相手がどう対応するか、さらにそれに対し自分はどうするか、先を読みながら行動を決定する。たとえば将棋では 「 こちらがここに角を打てば相手は金を動かして守るだろう。それに対しこちらが歩を打ってさらに攻めようとするが、さらに相手は・・・」 といった具合に考える。
将棋の名人であっても最後まで読み切ることはなかなかできない。実際には途中まで先読み推量を行い、あとはその中間情勢を価値判断して次の一手を決めているのである。
意思決定のタイミングのもう1つの類型は、同時進行ゲームである。プレーヤーはお互いに相手の次の行動を知らない状態で意思決定を行う。しかし各プレーヤーは、ゲームに参加しているプレーヤーがほかにもいることをお互いに知っており、相手の行動を予測しつつ自分の戦略を決定する。
野球のバッターは、しばしばピッチャーが次の球が内角か外角か、ストレートか変化球かを予測してバッターボックスに立つ。一方、ピッチャーはバッターがどの球種にヤマを張っているかを予測し、その裏をかこうと考える。これは、まさに同時進行ゲームである。
オークション (入札) には交互行動的なものと同時進行的なものがある。
ロンドンのサザビーにおける絵画オークションのように、購入希望者が値段を徐々につり上げ、最後にいちばん高い値段を言ったものが落札する方式 ( English auction ) は交互行動ゲームであるのに対し、公共事業の建設業者への発注のように紙に入札価格を書き、最も低い価格を提示したものが落札する方式 ( Sealed bid auction ) は同時進行ゲームである。
オークションの方式により、参加者の戦略が異なってくることはいうまでもない。
“ その他の分類 ”
次に利害衝突度合による分類を考えてみる。プレーヤーの利害が真っ向から衝突するゲーム、すなわちあるプレーヤーの利益が増えればそれと同じだけ他のプレーヤーの損失が増えるゲームをゼロサム・ゲームという。
多くの室内ゲームやビジネスにおける単純な価格交渉等はゼロサム・ゲームである。
それに対し、あるプレーヤーの利益が必ずしも他のプレーヤーの損失に結び付かないゲームは、プラスサム・ゲームと呼ばれる。ライバル企業間の価格協定はプラスサム・ゲームの一例である。プラスサム・ゲームでは相手と競争するとともに協調を図ることが重要であり、協調によって互いの利益を増加させることができる。
このほかにも、プレーヤーの人数による分類 (2人ゲーム、3人ゲーム、多人数ゲーム) や、各プレーヤーに与えられている情報量による分類 (各人がゲームのルール、自分の置かれている状況等を完全に把握している完全情報ゲームと、完全には把握していない不完全情報ゲーム) 等がある。
ゲームのプレーヤーにとって最も重要なことは、自分の直面しているゲームがどの類型に属するものであるかを正確に理解することである。これは一見単純なことのようで、必ずしもそうではない。
ゼロサム・ゲームと思っていたのに協議の余地があったり、2人ゲームのはずが思わぬ第三者が現れたり、また同時進行ゲームが途中で交互行動ゲームに変わってしまうことも珍しいことではないのである。
◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
“意思決定のタイミングによる分類”
⇒ 交互行動ゲーム
⇒ 同時進行ゲーム
“プレーヤーの人数による分類”
⇒ 2人ゲーム
⇒ 3人ゲーム
⇒ 多人数ゲーム
“利害衝突度合いによる分類”
⇒ ゼロサム・ゲーム
⇒ プラスサム・ゲーム
“情報量による分類”
⇒ 完全情報ゲーム
⇒ 不完全情報ゲーム
( 引用: MBAマネジメントブック、株式会社グロービス )
【 ビジネスマンとしての基礎知識のMBA、早稲田大学ビジネススクール 】
2013年07月07日
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