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商品を仕入れる
棚卸資産と売上原価
商品を売るためにはそれに先立ち商品を仕入れなければならない。仕入は最終的に費用になるが、仕入額のすべてが費用になるわけではないことを理解することが重要である。ここでのポイントは費用収益対応原則である。
仕入がすぐに費用になるわけではない
─ 仕入、売上原価、棚卸資産
モノを仕入れる場合、その仕入額が費用になるかというとそう単純ではない。商品は在庫を持つのが普通であるので、その分を考慮しなければならない。
次のような簡単なケースを考えてみよう。前期末の在庫が100円分であるが、当期には1、000円分の出荷予定があるとする。そこで、仕入れとしては900円分行う。これで前期末の在庫と合わせて1、000円分の在庫になる。
ところが、当期が終わってみると、実際には800円しか出荷されなかったとする。このとき、200円分の在庫が残ることになる。
この場合の会計処理は、実際に出荷のあった800円だけを売上原価という費用とし、期末に残った200円の在庫は貸借対照表に計上されて翌朝に繰り越すという処理をする。
このような処理をする根拠は費用収益対応原則である。費用収益対応原則とは、費用をあくまでも収益獲得の犠牲として捉え、収益獲得に貢献した部分だけを費用とする考えであった。
この例では、期末の在庫は販売されていないのであるから、まだ収益獲得に貢献していない。したがって費用として認識しないのである。売上原価は、費用収益対応原則の最も典型的な具体例である。
在庫は金のタマゴか、時限爆弾か
− 売れ残った在庫の行く末
期末の在庫は、翌気の在庫に繰り越されて翌期の出荷を待つことになり、実際に出荷されればそこで売上原価として費用化される。しかし、在庫はそもそも 「売れ残り」 であるので、翌期になったからといって売れるとは限らない。
時間がたてば劣化するものもあるだろうし、劣化しなくても陳腐化して時代遅れのものになってしまう可能性もある。新しいモデルでも出れば、少なくとも最初の価格で売れることは絶望的である。
商品が売れないままだと、それはずっと倉庫に眠る不良在庫と化していく。しかし、在庫は棚卸資産として貸借対照表に計上されているだけであって、費用としては顕在化しない。費用化されて損失と認識されるチャンスがあるとすれば、棚卸の際に不良在庫と認識されて、人為的に評価損を計上するか廃棄処分にでもする場合である。
しかし、キャッシュベースで考えるとどうなっているだろうか。費用としては認識されなくても、在庫は既にキャッシュを払って購入したものである。つまり、キャッシュアウトは既に済んでいるということは、在庫という名で倉庫に積まれているのはキャッシュの塊なのである。
これが売れずに廃棄処分になるということは、キャッシュの塊を捨てていることに等しい。
このように、在庫は費用にならないため直接的には利益を悪化させない。悪化させるのはキャッシュフローである。逆に言えば、在庫の削減はキャッシュフローを改善するための有力な打ち手の一つである。
トヨタがカンバン方式という仕組みで余計な在庫を持たないようにしたり、セブンイレブンの配送トラックが一日に何回も店舗を回って少しずつ商品を補充したりするのは、すべてそのためである。
最近はやりのSCM (サプライ・チェーン・マネジメント) も、全体最適をめざすことによって部門間や工程間の在庫を圧縮することが大きな目的の一つである。
”計算の仕方で売上原価も棚卸資産も変わる“
ここまでは仕入れる商品を金額だけで考えてきたが、実際は単価と個数で仕入れ額は決まる。そして、同じ商品であっても仕入れる時期によって単価は当然に変わり得る。このような場合、どのように売上原価や期末の棚卸資産の価額を計算するのだろうか。
商品の仕入額を個々に捉えていれば、売上原価も棚卸資産も物理的な商品と完全にひも付けて計算できる。しかし、この方法は計算に要する手間が非現実的であるし、燃油のような商品であれば仕入単価の違いはタンクの中で混ざってしまうため、そもそも計算不可能である。
そのため、この方法は、中古車や宝飾品のように、一見同じ商品に見えてもそれぞれ個性のある商品のような特別の場合以外は採用されない。
では通常どうするかというと、物理的な商品の動きとは切り離して、帳簿の上だけで一定の仮定の下に計算する。代表的な方法としては、先入先出法、平均法、売価還元法がある。
先入先出法 ( First in first out : FIFO ) は、時間的に先に仕入れたものから出荷されるという仮定の下に計算する方法である。この方法だと、売上原価は新しい仕入れ原価で計算され、棚卸資産は古い仕入れ原価で計算される。
平均法 ( Average method ) は、仕入原価の一定期間の平均原価を計算し、その平均原価で売上原価を計算し、その平均原価で売上原価と棚卸資産を計算する方法である。
平均原価の計算は、仕入や出荷等により在庫に変動があった都度平均原価を計算し直す移動平均法と、期末に一括して平均原価を計算する総平均法とがある。総平均法の場合、売上原価と棚卸資産の計算単価は等しくなる。
先入先出法、平均法の違いを例を使ってみてみよう。
(例) 期首在庫ゼロで、期中に以下のように仕入れた。
仕入日 数量 仕入単価 仕入額
4月1日 100個 @100円 10,000円
5月1日 100個 @110円 11,000円
6月1日 100個 @120円 12,000円
合計 300個 − 33,000円
これに対して、当期の売上は以下のようであった。
売上日 数量 販売単価 売上高
7月1日 200個 @150円 30,000円
この場合、先入先出法、総平均法のそれぞれで、売上原価、期末棚卸資産および粗利
(=売上高−売上原価) は以下のようになる。
≪先入先出法≫ 期末棚卸資産 @120円X100個=12,000円
売上原価 @100円X100個+@110円X100個=21,000円
粗利 30,000円−21,000円=9,000円
≪総平均法≫ 期末棚卸資産 @110円X100個=11,000円
売上原価 @110円X200個=22,000円
粗利 30,000円−22,000円=8,000円
この例から分かるように、どの方法を取るかによって、最終的には利益額も変わってくる。変わらない事実は、300個の仕入に伴う33,000円のキャッシュアウトがあったことと、200個分の売上に伴う30,000円のキャッシュインがあったことである。
これらの方法はすべて適正な会計処理であり、どの方法を採用しても会計処理自体はすべて適正である。不適正と判断されるのは、正当な理由がないのに採用する方法を変更した場合である。すなわち継続性の原則違反だ。
棚卸資産の評価方法のように、適正な会計処理が複数認められる場合は継続性の原則が非常に重要になる。
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まとめ
● 仕入れのうち、販売に対応する部分のみが売上原価として費用になり、残りは棚卸資産として資産に計上される。この処理の根拠は費用収益対応原則である。
● 在庫 (棚卸資産) はキャッシュフローを悪化させる。
● 期末棚卸資産の評価方法には、先入先出法、平均法などがある。採用する方法によって期末棚卸資産と売上原価の額は異なる。どれを採用するかは企業の任意なので、継続性の原則が重要になる。
( 引用 : MBA財務会計 )
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2013年05月19日
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